139)自律できない大人達
- 2013年11月8日
- 社会・雑学
名門と呼ばれる老舗高級ホテル・デパートによる「食品偽装」問題。
楽天の日本一に水を差す、楽天市場での「割引偽装」問題。
2人の国会議員による、「天皇陛下への手紙」問題と「北朝鮮への強硬渡航」問題。
まあ、コメントするのも悲しくなるような話題が連日報道されているワケだが、これらの問題に共通しているキーワードは、プロとしての「自律性の欠如」ということ。
自律というのは、文字通り、「自らを律すること」である。
プロたる者、その道に要求される厳格な自主規範に基づいて、自律的に行動し続けねばならない。
一連の問題の当事者たちは、消費者に最適なサービスを提供すべき接客・小売業者として、あるいは、日本国民の利益を最大限実現すべき「公僕」としてのプロ意識が欠落していたものと断じざるを得ない。
だからこそ、そのプロ意識から当然に生じるはずの「自律性」が著しく欠如してしまっていたのである。
人間、自律性が欠如すると、他律に支配される。
他律に支配されると、モラルはどんどん低下していく。
1)まずは、既定のルールに反しなければOKと思うようになる。
2)次に、ルールに反しても、バレなければOKと思うようになる。
3)そして、バレても、大した問題にならなければOKと思うようになる。
4)ついには、たとえ大騒ぎになっても、致命的なダメージを受けなければOKと思うようになる。
天皇陛下に手紙を渡した山本議員は、最初の記者会見で「そのようなルールがあるとは聞かされていなかった」という趣旨の発言をした。
つまり、1)のレベルだ。
食品偽装をしたホテルやデパートに出店していた業者たちは、消費者が表示の偽装に気づくはずはないと高をくくっていたに違いない。
つまり、2)のレベルだ。
楽天市場で割引偽装をした業者たちは、まさか、バレないとは思っていなかったろうが、まあ、バレても表示ミスとでも言い訳して即座に削除さえすれば、大した騒ぎには発展しないとでも思っていたのだろう。
つまり、3)のレベルだ。
アントニオ猪木議員に至っては、参議院の議決を無視しての強硬渡航だから、完全に確信犯に近いが、議員辞職にまで至らなければOKという程度の感覚だったのかも知れない。
つまり、4)のレベルだ。
それぞれ、悪質性のレベルは違うものの、いずれも、自身の顧客(消費者・国民)を無視した言動であり、自身の言動によって、自身の顧客が「どう感じるか?」という「想像力=イマジネーション」が決定的に不足しているのだ。
結局、本来の自身の顧客を全く無視しているってことなんだよねえ。
そう言えば、食品偽装問題報道の発端となった阪急阪神ホテルズの社長は、引責辞任会見で、「ホテルズだけで収まることがなく、阪急阪神の信用問題にまで発展した。その責任は辞任をもって償うしかない。」などと述べていた。
おいおい、「お客様にご迷惑をお掛けしましたので、辞して責任を取ります。」じゃないのかよ!と突っ込みたくもなるが、最後の最後まで、彼の目に映っていたのは、顧客ではなく「身内」だったようだ。
私は、教育とは「自律性を育てること」だと信念している。
最近の大人達の「自律性の欠如」は、教育における反面教師にするしかなさそうだ。
それにしても、以前に掲載した下記ブログの某メーカーといい、日本人が得意としていたはずの「お・も・て・な・し」とは程遠い話だよねえ……。
135)ブランドの担い手
http://www.soleil-mlo.jp/blog/ono/2197/