156)弁護士会って?
- 2014年6月15日
- 弁護士・資格
今日は、父の日。
かと言って、うちの娘たちは、父の日らしい振る舞いすらなく、いつもどおりだけど(笑)。
午前中は、サッカーW杯初戦、日本×コートジボワールをTV観戦し、午後も、ゆ~ったりとした時間が流れた。
それにしても、コートジボワールは、後半に大スターのドログバを投入してから、アッという間にチームが生まれ変わってしまったねえ。
ホントに悔しいけど、ドログバ、さすがっす……。
ま、何度も言うけど、この日曜日というのは、本当に「安息日」なんだよねえ。
昨日の土曜日は、中部弁護士会連合会の理事会が金沢で開催されたので、往復6時間を費やしての日帰り出張となった。
来週の木・金曜日は、日本弁護士連合会の理事会が東京で開催されるし、翌日の土曜日は、わが三重弁護士会の臨時総会なり。
そして、日曜日は、後輩弁護士の結婚式だ。
ホント、目出度いことだし、きっと「心が洗われる」に違いない。
緊張が続く毎日の中、ホッとする時間になりそうだねえ。
というワケで、なんだかんだで、来週も本業に費やすことができる時間は少ないなあ。
現在、正確には分からないが、イメージとしては、公務と本業に割ける時間は「半々」というところだろうか。
メンタル的には、公務8割超なんだけどね。
で、当然ながら、本業は、必要最小限のことしか出来ないので、飛び込みや紹介案件も、ほとんど全てお断りせざるを得ない状況に陥っている。
とにかく1年間限り!と腹をくくって会長に就任したので、全て覚悟の上だけど、想像以上にハードだねえ。
と、こんな話ばかりでも何なので、弁護士会というものについて、ちょこっと説明してみたい。
弁護士会というのは、弁護士として活動するためには、必ず加入しなければならない団体である。
弁護士は、民間事業者であるにも関わらず、唯一、監督官庁が存在しない資格だ。
時に、国家権力とも鋭く対峙せねばならないから、という理由による。
で、弁護士に対する指導・監督は、国ではなく、弁護士が強制加入させられている弁護士会が全て担うこととなっている。
このように、監督官庁が存在せず、弁護士会が弁護士を指導・監督し、懲戒権も持つ仕組みを「弁護士自治制度」と呼ぶ。
弁護士は、各都道府県に設置されている弁護士会(三重県は三重弁護士会)と中央組織である日本弁護士連合会の2つに加入している。
つまり、弁護士に対する最終的な懲戒権は日弁連が握っているというワケ。
ついでに言うと、会費も各地の弁護士会と日弁連の両方に支払っている。
三重の場合、三重弁護士会の会費が月額3万4000円、日弁連の会費が月額2万円だ。
各地の弁護士会の会費は、各地の事情によって金額はバラバラなんだけどね。
その他の負担額も含めれば、三重では年間の負担額は80万円近くにも及ぶ。
若手弁護士の就職難が話題となっているが、
就職できなければ、いきなり独立開業するしかなく、
開業するには、まず弁護士会に加入せねばならず、
弁護士会に加入するには、会費を毎月負担せざるを得ず、
会費を毎月支払うには、開業して安定的に稼ぐしかなく……、
なんていう堂々巡りの悩みが勃発するワケだ。
で、仕方がないので、司法修習を終了しても、しばらく弁護士登録をせずに、ある程度の資金の目途がつくまで「様子見」をする若手が多いのだ。
とにかく弁護士会の会費は高い!
若手から見れば、ホントにボッタクリ被害に逢っているような感覚なんだろうね。
会費が高い理由は、いろんな活動をしているから、ということに尽きる。
普通の民間事業者の団体なら、やることと言えば、業界利益の追求と自分達の相互扶助活動くらいのものだろう。
でも、弁護士会というのは、弁護士業界の利益追求を第一の目的とはしていない。
では、何をやっているのか?というと、懲戒の対象となる弁護士の指導・監督に加え、一般市民を対象とした公益活動、さらには、ありとあらゆる法制度に対する問題提起・政策提言などの活動だ。
弁護士法1条には、次のような規定がある。
第1項 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
第2項 弁護士は、前項の使命に基づき、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
つまり、弁護士会は、弁護士がこの使命を全うできるように、弁護士単独では実現出来ないあらゆる公益活動をやっているというワケ。
一般市民向けの公益活動としては、人権救済活動や各種の法律相談活動などがある。
法制度に対する問題提起としては、最近では、集団的自衛権問題、取調べの可視化問題、秘密保護法問題、通信傍受法問題、法曹養成問題などなど。
とにかく、日本中の全ての法律問題を取り上げるので、ハッキリ言って、日弁連の活動領域は無限といってもいいだろうね。
お陰で、毎月開催される日弁連理事会は、毎回、とんでもない分量の資料が配布され、ホントに休む間もない議論が繰り広げられる。
もちろん、弁護士会が何でもかんでもやるということについては、弁護士会内部でも批判がある。
そんな活動に金を使いまくるくらいなら、弁護士会費を下げろ!ということなのだが、私見では、弁護士会が公益活動をガンガンやりまくる公益団体たればこそ、弁護士自治制度という「特権」を保持できているのであるから、この批判は的を射ていないはず。
だだ、中には、弁護士自治を放棄して、弁護士会を普通の業界団体にしてしまって、会費をとにかく下げるべきだ、もっと言えば、任意加入の団体にしてしまえ!という人達もいるんだよねえ。
そうなると、弁護士が国家権力と対峙すること自体が不可能になるよねえ。
弁護士人口が急増している昨今、これからは、弁護士会のあり方そのものについて、いろいろな意見が出てくることは間違いないけどね。
まあ、何はともあれ、今の弁護士会は、あらゆる公益活動・政策実現活動に手を出しているワケで、日弁連理事を兼務する各地の弁護士会会長は、自身の弁護士業務を犠牲にせざるを得ない状況に陥っている。
各地によって事情が違うかも知れないが、弁護士会の会長は「無償」だ。
だからこそ、任期は1年とされる。
任期が2年もあったら、それこそ、事務所経営が傾いてしまう。
ちなみに、日弁連の会長や事務総長(=弁護士)などは任期2年だ。
さすがに、これくらいの職に就くと、自身の弁護士業務をする時間はゼロ。
なので、ちゃんと給与も支給される。
日弁連会長の場合、年間1800万円の給与に加え、2年間の退職慰労金として700万円が支給される。
まあ、激務の対価としては、妥当なところかねえ。
ついでに言えば、日弁連副会長というのは13名いるが、給与は年間480万円。
これは、ちょっと「お疲れ様です…」という感じだね。
というワケで、
仕事が貯まり、
ストレスが貯まり、
脂肪が貯まり、
されど、金は貯まらず(笑)。
なんて冗談も言いたくなるが、まあ、ここは視点を変えて、
経験・信頼という財産もコツコツ貯まり続けている!
と信じるしかないねえ(笑)。