164)20%の法則
- 2014年9月15日
- 社会・雑学
今月9日、司法試験の合格者が発表された。
8015人が受験し、1810人が合格。
合格率は22・58%で、2006年に新司法試験が始まって以降、「最低」
を更新したとのこと。
また、合格者数も、前年比でいうと239人の「大幅減」となり、2006年
以来8年ぶりに2000人を割り込んだそうだ。
ちなみに、合格率・合格者数の上位20校(74校中)は、次のとおり。
なお、予備試験というのは、法科大学院(ロースクール)を修了した者と同等
の学識を有するかどうかを判定し、合格すれば、司法試験の「受験資格」が付
与されるという国家試験である。
つまり、予備試験に合格すれば、ロースクールに通う「時間」と「お金」を大
幅に節約できるというワケ。
予備試験の受験科目は法律科目であり、ほぼ「ミニ司法試験」と呼べるような
内容なので、当然に、この予備試験パス組の合格率はグンと高くなる。
(合格率の上位20校)
1)京都 53.06%
2)東京 51.97%
3)一橋 47.06%
4)慶応義塾 44.64%
5)大阪 40.15%
6)早稲田 35.17%
7)中央 34.53%
8)千葉 30.95%
9)神戸 30.77%
10)東北 26.42%
11)愛知 25.93%
12)創価 25.71%
13)北海道 25.47%
14)首都大東京 22.92%
15)九州 22.84%
16)名古屋 22.56%
17)上智 19.62%
18)横浜国立 19.35%
19)岡山 18.06%
20)大阪市立 17.43%
★ 予備試験 66.8%
(合格者数の上位20校)
1)早稲田 172人
2)中央 164人
3)東京 158人
4)慶応義塾 150人
5)京都 130人
6)一橋 64人
7)明治 63人
8)大阪 55人
9)神戸 44人
10)東北 42人
11)北海道 41人
12)九州 37人
13)立命館 33人
14)上智 31人
15)名古屋 30人
16)千葉 26人
16)同志社 26人
18)首都大東京 22人
18)日本 22人
20)法政 21人
★ 予備試験 163人
御覧のとおり、上位20校については、名の知れた学校ばかり。
逆に、ここに名前が登場しないロースクールは、今後、生き残っていけるのか
どうか…、非常に苦しい戦いを強いられるに違いない。
今後、ロースクールのサバイバル競争は更に激化し、淘汰されていくロースク
ールも間違いなく増え続けるだろう。
ところで、ある集団から、ある基準に従って、その基準に適合した者を「選
抜」しようとした場合、私見では、「上位20%程度」を適合ラインとするの
が最適なんだろうと思う。
偏差値なら、60よりもやや下(偏差値58.4)という感じだ。
つまり、合格率が30%を超えるような試験も、合格率が10%を切るような
試験も、いずれも、選抜試験としては適当ではないということ。
その意味では、司法試験の合格率が20%程度に落ち着いたことは、歓迎すべ
きことなのかも知れない。
昔の司法試験だって、合格率=数%の「酷い試験」なんて言われるけど、これ
は、1次・2次等に分かれているから、結果的にそうなるだけのこと。
私が合格した平成6年の司法試験だって、
1次(短答式)合格率=25%、2次(論文式)合格率=15%だった。
また、私が合格した平成22年の中小企業診断士試験も、
1次(選択式)合格率=16%、2次(記述式)合格率=20%だった。
まあ、この程度が健全な「選抜試験」ということなんだろうね。
司法試験の合格率が20%程度になったのは、政府が、従前の「年間3000
人の合格者目標」という政策を完全撤廃した影響が大きく、無理に合格者数を
引き上げるという政策的動機が無くなったからに他ならない。
俗に「20:60:20の法則」とか、「集団1/5の法則」なんて呼ばれる
法則があり、上位20%程度が「選抜ライン」である根拠ともなる。
20:60:20の法則というのは、どんな集団でも、
優秀な人=20%
普通の人=60%
ダメな人=20%
に分かれるというもの。
集団1/5の法則というのは、どんな集団でも、
第1集団=自発的にやる気を出す人達
第2集団=他にやる人がいればやる気を出す人達
第3集団=命令されればやる気を出す人達
第4集団=命令されてもやる気の出ない人達
第5集団=やる気のある人たちの足を引っ張る人達
という1/5ずつの小集団に分かれるというもの。
何となく、そんなもんかなあ…とは思えるよね。
でも、ここで注意しなければならないのは、「下位20%」や「第5集団」と
いうのは、決して「切り捨てるべき存在」ではないということ。
要は、この序列は、「ある基準」に従って評価した場合の話なので、基準を変
えれば、この序列は、いくらでも入れ替わるワケだ。
ある基準においては、足を引っ張るだけの第5集団も、別の基準では、恐ろし
いほどのモチベーションを発揮して、集団をリードするかも知れないのだ。
だからこそ、組織には、いろんな人が必要なんだよね。
営業が上手い人、管理が緻密な人、技能に秀でた人、それぞれの「基準」にお
ける上位20%の人を「適材適所」に配置できれば、その組織は、どんどん成
長していくに違いない。
面白いもので、アリの世界でも、この「20%の法則」は存在するらしい。
20%のアリは、とても良く働き、
60%のアリは、そこそこ働き、
20%のアリは、全く働かない、とのこと。
何故、こうなるかというと、アリの個体ごとに、働き始める「感度」が違うか
らだそうだ。
掃除に例えるなら、
上位20%は、「汚れる前に掃除する」タイプ、
中位60%は、「汚れたら掃除する」タイプ、
下位20%は、「汚れても掃除しない」タイプという感じ。
下位20%グループは、結局、「生活に差し迫った支障が出れば、ようやく掃
除する」タイプということだね。
これは、人にもよく当てはまる話ではなかろうか。
問題が起きないように事前に手を打つタイプ、
問題が起きて初めて動くタイプ、
問題が起きても放置してしまうタイプ。
う~む。
思わず、自分の反省も含めて、ちょいと考えてしまうよね。
弁護士なんて仕事をしていると、いろんな人と遭遇する。
人として、どうしても「合わない」人がいることも大いに実感するところ。
結局、人生観・人間観・価値観においても、この「20%の法則」は大いに当
てはまるワケで、
社会の20%の人は、自分に「好感」を抱いてくれる一方、
20%の人は、理由もなく、自分を「嫌う」はずであり、
残り60%の人は、自分には「無関心」ということだ。
でも、ここまで割り切って考えれば、つまらない人間関係に悩むことも減るか
も知れないね。