沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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185)SMAPな人生

SMAPと言っても、ジャニーズ・ネタではない。
まあ、最近、SMAPも何かと話題ではあるんだけどね。

さて、先日、公私に渡って懇意にさせて頂いている顧問先社長が所有する別荘
@八ヶ岳にお招き頂いた。
前回お邪魔させて頂いたのは2007年11月であったので、実に7年半ぶり
の八ヶ岳訪問となった。

2007年以前は、社長の御厚意により、様々な季節に5回ほど家族で八ヶ岳
を訪問する機会に恵まれ、その度に、あらゆる悩みを一掃してくれる「大自然
の雄大さ」に魅了されていた。
今回は、我々夫婦2人でお邪魔させて頂いたのだが、ホントに至れり尽くせり
の「おもてなし」を社長ご夫妻から頂戴し、「感動しきり」の連続であった。

社長ご夫妻は、いずれ、三重と八ヶ岳の「半々生活」を実践されることになる
のだろうが、実に羨ましい!の一言。

加えて、この八ヶ岳の別荘、毎年「リニューアル」され続けているというの
が、実にビックリするところなのである。
どういうことかと言えば、社長自ら、テラスや離れ、庭の造作物など、ありと
あらゆる物をコツコツと「増築」なさっているのだ!
しかも、設計図もなしで(笑)。
当然、日曜大工のレベルなど、はるか以前に超えてしまっており、もはや、プ
ロ顔負けの腕前なのである。

自らの手で「セカンドライフの拠点」をコツコツと作り上げていく!
なんて、素晴らしい「趣味+実益」なんだろうか。

勿論、我々夫婦にとっても、大いに刺激になったことは言うまでもない。

ところで、八ヶ岳滞在中、ちょっとだけ「セカンドライフどうします?」みた
いな話題となった。

弁護士の場合、生涯現役・一生弁護士という人も多かろう。
だが、私の場合、理想を言えば、60歳でセミ・リタイヤ、65歳でフル・リ
タイヤとしたいところ。
正直、死ぬまでずっと、人様の争いごとに首を突っ込み続ける気力と体力を維
持する自信はない。
と言うよりも、人生の終盤は、できれば「SMAP」に浸って過ごしたいんだ
よねえ。

私の勝手な考えだが、人生を豊かにする4つの脳スパイスが「SMAP」だ。

S=SPORTS(スポーツ=運動)
M=MUSIC(ミュージック=音楽)
A=ART(アート=美術)
P=PHILOSOPHY(フィロソフィー=哲学)

もっと砕けた表現をすれば、こんな感じか。

S=体を「動かす」こと
M=音を「奏でる」こと
A=物を「創る」こと
P=人生を「考える」こと

まあ、私の場合は、

S=筋トレ・ウォーキングを続け、たまにゴルフを楽しみ、
M=サックスを奏でつつ、時には夫婦でコンサートに赴き、
A=日本画を勉強して、散歩がてらに一眼レフにも興じ、
P=読書三昧の傍ら、執筆活動に勤しむ。

な~んていうセカンドライフが最高!だねえ。

八ヶ岳の別荘を自らリニューアルし続ける社長の場合、
体を「動かす」ことと、物を「創る」ことを同時に為さっているので、
さぞかし、社長の脳にはビンビンと最良のスパイスが降り注がれ続けているに
違いない。
おそらく、社長は存分に「長生き」されることであろう(笑)。

勿論、セカンドライフを充実させようと思えば、現役時代の「準備」が必要不
可欠だ。
健康を維持し、人間関係を築き、適当な趣味を作り、そして、十分なセカンド
ライフ資金を用意せねばならない。

一般的に、セカンドライフ資金は、「老齢年金+退職金+自己資金」という構
成になるのだろうが、弁護士の場合は、そうもいかない。
老齢年金は国民年金だけだし、退職金なんてあるワケもないからね。

そうすると、セカンドライフ資金は、全て「自己資金」で賄う必要がある。

巷では、豊かなセカンドライフに必要な資金は、夫婦2人で月額38万円と言
われている。
まあ、十分な厚生年金と退職金がある人は、この金額を達成するのは、さほど
難しくないのかもね。

例えば、厚生年金が月額23万円あれば、不足額は、
月額15万円×12ヶ月×セカンドライフ年数
ということになる。

セカンドライフ年数を20年とすれば、不足額は3600万円。
退職金が2000万円もあれば、残りは1600万円。
まあ、大金は大金だけど、何とかならない金額ではない。

ちなみに、法律事務所の職員は、厚生年金に加入できる。
当事務所でも、勿論、加入している。
また、退職金についても、「中小企業退職金共済」という公的制度がある。
当事務所も、これを利用して退職金を積み立てている。
従って、当事務所の職員は、セカンドライフ資金はバッチリ!かな?

だが、弁護士の場合、夫婦そろって国民年金のみというパターンが多い。
夫婦ともに、老齢年金が国民年金(2人で月額13万円)だけだと、
ざっくりとした単純計算で、
月額25万円×12ヶ月×セカンドライフ年数
もの自己資金を用意せねばならない。

つまり、セカンドライフ年数が20年なら、何と6000万円(!)だ。
さすがに、税金を払い、社会保険料を払い、生活費を払い、遊興費も払った後
の「純益」だけで、これだけの金額を積み上げるのは、そうそう簡単なことで
はない。

ということで、老齢年金と退職金に恵まれない自営業者のために、有利な公的
制度が用意されている。

それが、「国民年金基金」と「小規模企業共済」である。
前者が「老齢年金の上乗せ」で、後者が「退職金の代わり」となる制度だ。

国民年金基金の掛金は、月額6万8000円が上限で、
小規模企業共済の掛金は、月額7万円が上限である。

若い時から掛け始めれば、それなりの老齢年金と退職金を受領することができ
る仕組みだ。

これらの公的制度が、民間業者の個人年金保険などと比較して、圧倒的に有利
な点は、掛金の「全額が非課税」とされている点。

従って、事業所得が十分に黒字なのであれば、ガッチリと節税になる。
しかも、年金や共済金の受領時においても、公的年金や退職金と同じ扱いとな
るので、この点でも節税効果は抜群だ。

民間業者の個人年金保険などでは、とてもこうはいかない。

つまり、セカンドライフのために、せっせと自己資金を積み上げるにしても、
自営業者なのであれば、国民年金基金と小規模企業共済の2つの制度を利用し
ない手はないのだ。

だが、日本弁護士国民年金基金の加入率は決して高くない。

本年4月7日現在のデータによれば、
日本全国の弁護士総数=3万6466名で、うち、弁護士国民年金基金に加入
している弁護士数=7622名、既に受給中の弁護士数=3278名、合計=
1万0900名となっている。
つまり、加入率は、わずかに29.9%だ。

ちなみに、三重弁護士会においても、
弁護士総数=180名、加入弁護士数=42名、受給中弁護士数=17名、合
計=59名であり、
その加入率は、32.8%だ。

まあ、これほどまでに税制上の優遇がある有利な公的制度なのに、3人に1人
しか加入していないということなんだよねえ。

このような数字を見るにつけ、「今の経営・生活に必死で、将来のことを考え
る余裕などない!」という弁護士たちの声が聞こえてくるようだ。

弁護士の場合、「支出のプライオリティー」は次のような感じ。

1)経費(事務所費・人件費等)
2)公租公課(税金・社会保険)
3)借金返済(各種ローン)
4)生活費・教育費
5)貯蓄(短期的将来資金)
6)投資(長期的将来資金)
7)遊興費

国民年金基金にしろ、小規模企業共済にしろ、性質上は「投資」だ。
とすると、家計が十分に「黒字」で、キチンと貯蓄を継続するだけの余裕ある
家計状況でないと、とてもとても、そこまでは手が回らないということ。

SMAPな人生は、確かに理想ではあるが、
理想実現のための現実は、なかなか厳しいということなんだね。