204)50歳で±0
- 2016年1月31日
- 経済・ビジネス
昨日(1月30日)、三重弁護士協同組合主催のセミナーが開催された。
講師は、テレビや著書でもお馴染みの経済ジャーナリスト「荻原博子」氏。
講演の内容は、世界経済・アベノミクス・年金問題といったマクロな経済問題から、弁護士のライフプラン・収入アップ対策といったミクロな経済問題まで実に多岐に渡り、とても有意義な時間であった。
荻原氏が特に強調されていたのは「現金(キャッシュ)」の大切さである。
これは、企業経営にも通じるもので、如何に財務諸表の成績が優秀でも、
現金が枯渇した途端に、企業は簡単に潰れてしまう。
いわゆる「黒字倒産」というヤツだ。
最も重要な財務指標の1つに「手元流動性比率」というものがある。
現金・預金・短期有価証券といった即時換金性の高い資産が、月商の何ヶ月分あるかという指標である。
つまり、全く現金収入が無い状態で、何ヶ月間持ちこたえられるかという話。
中小企業の場合、手元流動性比率は「2ヶ月」以上が望ましいとされている。
家計も同様で、現金が枯渇したら即アウトだ。
特に、昨今の弁護士業界は「先が見えない」状況であり、収入は安定しない。
そうなると、事務所経営における「手元流動性比率」は高ければ高いほど良い。
できれば「3ヶ月」はクリアーしたい。
事務所の3ヵ月分の売上高を「キャッシュ」で確保できたならば、
いよいよ、老後を見据えたライフプランの構築となる。
人生の3大資金と言えば、
住宅資金・教育資金・老後資金である。
30代・40代は、住宅資金と教育資金が重くのしかかり、
50代ともなれば、老後資金に頭を悩ますこととなろう。
そこで、荻原氏が指摘されたのが、
「50歳で±0」
ということなのだ。
つまり、50歳になった時点で、住宅資金と教育資金の問題を解決し、
「老後資金ゼロ、でも借金ゼロ」
という「±0」の状態を作っておくのが理想ということ。
老後資金はいくら必要なのか?
という問いに対して、「1億円」やら「3000万円」やらと言われる。
この計算は実に単純で、
老後に夫婦が必要とする生活費が、月額23万円。
それに「ゆとり」を持たせて、月額33万円。
65歳~90歳まで、老後は最長で25年間なので、
33万円×12ヶ月×25年=9900万円。
で、老後資金は、トータルで「1億円」必要という話。
また、月額23万円の部分は、厚生年金に加入している人なら、
年金収入だけで、ほぼ全て賄える。
従って、不足分の月額10万円だけを自分で用意すればよい。
そうすると、10万円×12ヶ月×25年=3000万円。
で、老後資金は、自分で「3000万円」用意しないとダメという話。
そこから、荻原氏の言う「50歳で±0」の話に繋がる。
50歳の時点で、住宅ローンが完済し、十分な教育資金が積み立ててあれば、
その後は、住宅資金と教育資金に充当していた分を老後資金の積立に回せる。
住宅資金と教育資金に月額20万円充当していたとすると、
50歳~65歳までの15年間で、
20万円×12ヶ月×15年=3600万円。
これで、自分で用意すべき「3000万円」がクリアーできるというワケ。
だが、この計算は、あくまでも「月額23万円」の年金収入が前提だ。
弁護士の場合、何もしなければ、国民年金しかない。
夫婦でも、月額13万円。
つまり、月額10万円の不足だ。
このままだと、自分で用意すべき老後資金は「6000万円」となってしまう。
やはり、若いうちに「弁護士国民年金基金」には加入すべきだ。
そして、できれば、「小規模企業共済」にも加入すべきだね。
両制度とも、掛金全額が「所得控除」されるという圧倒的に有利な制度なのに、
思いのほか、加入率が低いことには驚かされる。
両制度にキッチリと加入した上で、「50歳で±0」が達成できれば、
まさしく、「豊かなセカンドライフ」が期待できるというもの。
私も、今年で48歳。50歳は目前だ。
お陰様で、住宅資金も教育資金も何とかクリアーできたので、
後は、せっせと老後資金を積み上げていくのみかね。
老後の不安は「3K」と言われる。
「金」「健康」「孤独」
の3つだそうだ。
やっぱり、金だけあっても、健康を害したり、配偶者を早く亡くしたら、人生台無しだね。
夫婦揃って、健康のまま人生を全うする!
老後資金作りだけでなく、心身の健康作りにも、せっせと励んでいかねば!