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経営/法律の各顧問契約、そして中小企業法務において、弁護士と中小企業診断士の[2つの資格]を活かし、
法律問題にとどまらず、企業経営全般に及ぶトータルサポートを実践いたします。

ヒトに関する法分野

企業における「ヒト」は、重要な経営資源(従業員)であるとともに、企業の機関(経営者)や所有者(株主)でもあり、企業という組織を形成する中心的要素です。
中小企業の場合、「ヒト」と「ヒト」の関係が緊密であるため、良好な関係が一旦崩れてしまうと、感情が複雑に絡み合って、紛争が深刻化する傾向にあります。

労働法(従業員の問題)

中小企業法務を遂行する上で最も重要な法分野の1つです。
要するに、会社と従業員との雇用問題を規律する法分野です。

前述したとおり、中小企業においては、どうしても「労務軽視」になりがちです。
これは、意識が「カネ」に集中しがちであることに加え、中小企業の従業員は、経営者から見ると「家族」に近い存在になってしまいがちであり、会社と従業員が労働契約という「契約」を結んでいることすら忘れてしまうような密な人間関係である場合が多いことに起因します。
中小企業の場合、従業員は会社と「契約」していると言うよりも、会社に「帰属」しているという意識が強いのではないでしょうか。

そして、このような密な人間関係から、知らず知らずのうちに、経営者が従業員に対して「無理を押し通してしまう」ことになり易く、結果的に、労働法違反の実績を積み上げてしまうのです。

会社と従業員の関係が良好である間は問題は表面化しませんが、一度、関係が悪化してしまえば、会社が受けるダメージは計り知れません。
労働法分野における紛争の大半が、経営者の労働法に関する知識の欠如、認識の甘さに由来します。

労働法は、民法上の契約自由の原則(対等な当事者間の契約が前提)を大幅に修正して、弱者である従業員の地位を保障した特別な法分野です。
従って、経営者が「たぶん、これでOKだろう。」と安易に出した結論が、ことごとく労働法違反ということになり易いのです。労働法分野は、全く知らなければ、結論を推測することが不可能という特殊な分野です。

当事務所は、使用者側(会社側)の視点に立った労働問題処理に特に力を入れているところです。


会社法(経営者の問題)

企業組織を運営(経営)していく上で遵守すべき法分野です。
中小企業において、意外に「軽視」もしくは「無視」されがちな法分野であり、思わぬ場面でダメージを受けてしまうことがあります。

中小企業が法人である以上、会社法を遵守すべきは当然のことですが、中小企業経営者におかれては、意識的にせよ、無意識的にせよ、経営者自身と企業が完全に「同化」してしまっているケースが多く、会社法で要求されている種々の手続を「省略」してしまいがちです。
例えば、小規模企業であれば、株主総会や取締役会を開催すること自体も稀なのではないでしょうか。
株主や役員のメンバー構成が同一で、経営意識も同一である限りは、紛争化することは無いでしょうが、一旦、メンバー構成に変更があったり、相互の人的関係が悪化した場合には、法定の手続を実施してこなかった「ツケ」は経営を揺るがす一大事に発展しかねません。

経営が順調な際には「意味がない」と思える手続であっても、常日頃から法律を遵守する経営姿勢が強く望まれます。


家族法(所有者の問題)

中小企業法務に特有の法分野と言えます。
なぜ家族法が問題になるのかピンと来ない方もいるでしょうが、中小企業の経営者は、ほとんどの場合「オーナー」でもあります。
つまり、会社法の建前である「所有と経営の分離」が徹底されておらず、むしろ、「所有と経営が一致」しているのが通例だからです。

例えば、経営者が離婚問題を抱えていれば、保有する株式は財産分与の対象となりますし、経営者が死亡して相続問題が浮上した場合には、保有していた株式は遺産分割の対象となってしまいます。
つまり、離婚問題や相続問題が、単なる家庭内の揉め事ではなく、経営問題や企業存亡の問題にまでアッという間に発展してしまうのです。その意味で、家族法分野での適切な法的処理が極めて重要になってくるのです。

また、近時、<事業承継>という法分野が特に注目されています。
事業承継というのは、「経営権」を誰に譲るのかという経営問題と「株式」を誰に譲るのかという相続問題をワンセットで解決するというものです。
この分野は、家族法(相続)、会社法(株式)、税法(相続税)の総合的理解が要求される分野であり、また、平成20年10月1日から施行されている「中小企業経営承継円滑化法」の十分な理解も必要であることから、法律専門家の支援が不可欠な法分野です。

所有と経営が一致している中小企業において、社長が亡くなった途端に所有と経営が分離する危険を招致してしまうのは、社内に無用の紛争を引き起こすだけでありますから、社長が元気なうちから、用意周到に事業承継計画を立案していかねばなりません。
統計的には、現在の経営者の多くが高齢を迎えており、事業承継問題を意識していないと会社の存亡問題にも発展しかねません。
相続が「争族」に変貌してしまうことは世の通例です。

家族法分野は大企業の企業法務では無縁かも知れませんが、中小企業法務では必須の分野と言えるでしょう。
当事務所は、家族法分野の紛争処理において高い実績を有しています。