255)老後資金どう作る?
- 2017年10月28日
- 経済・ビジネス
人生の3大資金とは、次の3つ。
(1)住宅資金
(2)教育資金
(3)老後資金
平均的な人生プランでいけば、
30代では、住宅資金がテーマとなり、
40代では、教育資金がテーマとなり、
50代では、老後資金がテーマとなる。
ただ、以前にも述べたとおり、どの資金も、
30代から準備を開始すべきもの。
なので、50代に突入してから、
「ああ~、老後どうしよう……」
などと言っているようではダメなのだが、
それでも、老後を迎えるまでは、
まだ15年~20年もあるのだから、
今からでも、遅くはない!
キチンと「危機意識」をもった上で、
至急、その準備を開始すべし、だ。
以前にも述べたとおり、
(1)社会の中で「ヒト」と繋がり、
(2)自己表現できる「コト」があり、
(3)自由を謳歌できる「カネ」があれば、
人は十分に幸福な人生を歩める。
そして、特に「カネ」の準備には、
それなりの年数がどうしても必要となる。
どんなに短くても、10年は必要だろう。
なので、50代に突入した人は、
「今すぐ!!」
ということだね。
では、何から手をつけるべきか?
ということだが、まずは、
「税制優遇制度」
に徹底的にフォーカスして、
最大限に「利用し尽くす」ことだ。
パッと思い浮かぶ「税制優遇制度」だけでも、
(1)国民年金基金
(2)小規模企業共済
(3)iDeCo(個人型確定拠出年金)
(4)NISA/積立NISA
(5)ふるさと納税
などが挙げられる。
国民年金基金・小規模企業共済・iDeCoは、
「掛金額=非課税」で、
「受給額=税制優遇」という点で共通。
掛金額が非課税ということは、
掛金額に課されるはずの税金がトクになる。
例えば、課税所得=500万円の人だと、
所得税率=20%、住民税率=10%なので、
合計で、年間30%の「利益」ということ。
どんなに上手に運用しても、
年間30%の安定利益を出すことは不可能で、
これほど、安全で利率の高い金融商品は無い。
加えて、普通の金融商品の場合、
年金で受給する場合は「雑所得」、
一時金で受給する場合は「一時所得」となり、
それぞれ課税される。
ところが、これらの制度では、
年金で受給する場合は「公的年金等」とされ、
65歳以上ならば、年間120万円まで非課税だし、
一時金で受給する場合は「退職金」とされ、
加入期間が20年なら、800万円まで非課税だ。
つまり、これらの制度は、
その節税効果により、その運用がどうであれ、
「ほぼ確実に儲かる」
という極めて稀有な金融商品なのである。
NISAは、
年間120万円×5年=600万円
という範囲内での投資額に対し、
その運用益が非課税になるという制度。
積立NISAは、
年間40万円×20年=800万円
という範囲内での投資額に対し、
その運用益が非課税になるという制度。
これらは、残念ながら、前記の3つとは違い、
「ほぼ確実に儲かる」
とは言えないものだが、
運用益が発生した場合の節税効果は大きい。
何しろ、株式等の運用益に課される税率は、
20.315%(!)である。
これは実に大きい。
まあ、とは言え、
運用益が出なきゃ意味がない!
というのは、そのとおり。
だが、積立NISAのように、
20年もの長期運用ができる制度ならば、
インデックス投資をする限り、
運用益は、必ず出るはずなんだよね。
もちろん、自己責任だが……。
後は、言わずと知れた「ふるさと納税」。
これは、本来的な税制優遇制度ではないが、
わずか2000円の負担で、
寄付額の3割程度の返礼品をゲットできる。
返礼品を生活必需品に指定すれば、
その効果は絶大である。
ということで、まずは、
これらの税制優遇制度を最大限活用すべし!
ということになる。
では、これらの制度の利用率は、どれくらいか。
国民年金基金は、1号被保険者が加入できるが、
その加入率は、2.6%。
小規模企業共済は、個人事業者が加入できるが、
加入者が国民年金基金の3倍なので、単純計算だと、
その加入率は、8%弱か?(よくわからない)
iDeCoは、本年1月の制度改正により、
20歳~60歳のほぼ全ての人が加入できるが、
その加入率は、8.8%。
NISAは、20歳以上なら加入できるが、
その加入率は、20.5%。
積立NISAは、来年1月からスタートする。
当然ながら、データは無い。
ふるさと納税は、
その利用率は、10%程度と言われる。
まあ、いずれにせよ、NISAを除けば、
いずれも加入率・利用率が、あまりに低い。
これは、ホントに、もったいない!
まずは、制度を知ること、これに尽きる。
ところで、NISAの加入率は、比較的高い。
一方、来年からスタートする積立NISAは、
金融機関が「全く乗り気ではない」と言われる。
このあたりから、金融商品のカラクリが見えてくる。
NISA口座での投資対象は、ほぼ何でもありだが、
積立NISAでは、金融庁の指導で、
インデックスファンドなどの安全な商品に限定される。
この点は、iDeCoでも、同じ。
要するに、金融機関は、手数料商売なので、
手数料が高くないと「おいしくない」のである。
例えば、投資信託の手数料と言えば、
「販売手数料」(販売時に発生)
「信託報酬」(保有する限り毎年発生)
「信託財産留保額」(解約時に発生)
などがある。
販売手数料・信託財産留保額については、
インデックスファンドでは「ゼロ」というのが普通。
そして、信託報酬については、
インデックスファンドでは「0.5%未満」が普通。
ところが、金融機関の窓口販売では、
販売手数料2~3%、信託報酬1~2%という
アクティブファンドが積極的に売られている。
窓口担当者の人件費を回収するためにも、
手数料収入がどうしても必要だからだ。
販売手数料3%だと、1万円の投資信託を購入しても、
いきなり、元金が9700円からスタートするんだよね。
これは、あまりにバカげたコストである。
年3%の運用益を出したとしても、
ようやく1年後にトントンになるだけだからね。
そう、そういうことなのだ。
売り手(金融機関)にとって「うまい」商品というのは、
買い手(消費者)にとっては「まずい」商品ということ。
で、結論としては、老後資金は、
(1)長期運用
(2)ローコスト
(3)非課税制度の最大限活用
という鉄則を守って、コツコツと作り上げるべし、だ。
まあ、結局のところは、政府が積極的に、
このようにドンドン非課税制度を導入するのも、
将来、公的年金が「改悪」されていくのは必至だから、
その「エクスキューズ(言い訳)」として、
「有利な制度を用意したので、後は自助努力でやってね」
と国民に言いたいんだろうけどね。
ただ、我々としては、
生きていく上での「最大のコスト」である税金が、
相当程度カットできる税制優遇制度については、
トコトン活用しまくるしかない!!
政府や公的制度は信用できないから、
敢えて、私は民間商品を買うんだ!なんていうのは、
選択の順番としては、愚の骨頂。
何しろ、こんな有利な民間商品は絶対に存在しないし、
国家が破綻するときは、民間も破綻するんだから、ね。