276)自転車活用推進法
- 2018年10月27日
- 法律・政治
ロードバイクを始めて、はや1年。
仲間と国道・県道沿いを走る機会も増えた。
国道・県道沿いを走っていて、
最近、やたら目に付くようなったのが、
「自転車ナビマーク」なる路面表示。
車道の左側端に、青い矢印で、
「自転車が走るのはここですよ」
と明示しているペイントだ。
うちの近所でも、最近、
「自転車走行空間設置中」
という看板とともに、
自転車ナビマークのペイント工事中。
実は、このような事態は、
「自転車活用推進法」
という法律が施行された影響である。
この法律、昨年5月に施行されたが、
大半の国民が知らないだろう。
国民に向けた法律というよりは、
国・地方自治体・民間事業者に対し、
自転車活用を推進する施策を命じたもの。
具体的には、以下の基本方針だ。
1)自転車専用道路等の整備
2)路外駐車場の整備等(路上駐車の削減)
3)シェアサイクル施設の整備
4)自転車競技施設の整備
5)高い安全性を備えた自転車の供給体制整備
6)自転車安全に寄与する人材の育成等
7)情報通信技術等の活用による管理の適正化
8)交通安全に係る教育及び啓発
9)国民の健康の保持増進
10)青少年の体力の向上
11)公共交通機関との連携の促進
12)災害時の有効活用体制の整備
13)自転車を活用した国際交流の促進
14)観光来訪の促進
15)地域活性化の支援
何故、自転車を活用すべきかと言えば、
二酸化炭素を出さないので「環境」に良い、
無電力かつ機動的なので「災害」に強い、
健康が促進されて「医療費削減」に繋がる、
自動車総量が減り「渋滞緩和」に繋がる、
ということが期待されるから。
なので、この法律に基づく施策は、
国土交通省が中心となり、
総務省・文部科学省・厚生労働省・
経済産業省・環境省・国家公安委員会、
等々、日本の縦割り行政には珍しく、
省庁横断で取り組んでいる一大施策だ。
だから、地方自治体も、せっせと
自転車ナビマークを設置しているワケ。
この自転車ナビマーク、
自転車サイドからすれば、
ホントにありがた~い限りなのだ。
自転車は、車両の仲間なので、
「車道の左側端を走る」
のが大原則。
この大原則が、
1970年の道交法改正によって歪められた。
当時、日本は高度成長期。
モータリゼーションが急激に進み、
とにもかくにも「自動車中心」となった。
結果、自転車は危ないので、
「取り敢えず、歩道に上げましょう」
ということになり、
「自転車は歩道通行可」
という世界的にも稀有なルールが誕生。
以来、半世紀近くの間、
「自転車は歩道を走るもの」
という固定観念が国民を支配することに。
従って、自動車のドライバーから見れば、
自転車が原則どおり、車道を走ろうものなら、
「なんで、車道を走ってるんだ!」
と言わんばかりに、幅寄せをする者や、
クラクションを鳴らす者まで出てきたのだ。
だが、自転車活用推進法の登場で、
ようやく、「自転車は車道を走るもの」
という大原則に立ち返る気運が出始めた。
この「自転車ナビマーク」により、
自動車のドライバーからしても、
「ああ、自転車がここを走るのか」
ということが一目瞭然で理解されるので、
今までのような、
自転車への冷たい仕打ちが無くなる!
ということが強く期待されるんだよね。
そもそも、厳密には、
「自転車は歩道を走るもの」
ということすら、道交法上は、
とんでもなく間違った表現である。
道交法では、自転車は、
「歩道の車道寄りを徐行すべし」
となっているのだから。
徐行というのは、道交法では、
「直ちに停止することができる速度」
とされている。
時速何kmとは書いていないが、
一般的には、
「時速4~7km程度」
と理解されている。
普通の徒歩や早歩き程度の速さだ。
つまり、「走る」のはNGなのだ。
こんな速度で歩道を通行している自転車、
ほとんど見たことがない!
そもそも、歩く速さと一緒なら、
自転車に乗る意味すら薄れてしまうよね。
特に、ロードバイクは、
時速20~30km程度で走るのが普通。
当然、ロードバイクで歩道通行なんて、
とんでもない!あり得ない!という話。
ただねえ。
ロードバイクに乗っているのに、
歩道を「走っている」者や、
自転車ナビマークを「逆走」する者が、
たまにいるんだよねえ。
悲しいことに。
ママチャリに至っては、
逆走なんて「当たり前」の雰囲気。
わざわざ「矢印」が書いてあるのに、
なんで矢印に逆らって走るのか、
全くワケが分からないよなあ。
自転車が右側走行すると、
とにかく、とんでもなく危険なのだ。
何故かと言えば、
交差点での出合頭衝突が起き易くなるし、
正面衝突の危険さえ生じ易くなる。
自転車は生身を曝しているワケで、
事故が発生すれば死亡にも繋がり易い。
キチンと左側通行していれば、
後方から来る自動車と接触しても、
同一方向へ進行しているから、
まだ衝撃は相殺される。
ところが、正面衝突ともなれば、
衝撃は格段に増幅されてしまう。
いやはや、ホントに怖いよねえ。
自転車活用促進法が示すとおり、
インフラ整備と併せて、
是非とも、自転車に関する交通教育、
これを徹底してもらいたいところ。
個人的要望としては、
小中高のカリキュラムに組み込んで欲しい。
そして、大人たちの固定観念も払拭すべく、
自動車免許の更新時に講習をして欲しい。
ただ、自動車免許の無い大人たち。
この人達にどう教育していくのか。
なかなか難しい問題だよねえ。
自転車に乗るようになってから、
自然と自転車に目がいくようになったが、
やたらと「逆走」の多さが目に付く。
加えて、信号無視・無灯火も目立つ。
あんた「死にたいのか?」と思ってしまう。
私ども世代の子が親になる頃には、
少しは、自転車教育が普及していること、
ホントに強く強く願うばかりだ。
ところで、先日、仲間たちとともに、
憧れの「しまなみ海道」に行ってきた。
金曜日~日曜日の2泊3日の予定だったが、
あいにくの「台風襲来」で、
晴れだった金曜日に一人で半分走行し、
雨だった土曜日は、全員で半分走行し、
土曜日の宿泊を断念して、
日曜日の台風襲来前にサッサと帰宅した。
まあ、雨の中の走行は初体験であったが、
幸い、事故に見舞われることもなく、
意外に快適な走行であった。
快適だった最大の理由は、
しまなみ海道の「自転車へのやさしさ」
だったように思う。
自転車走行の推奨ラインには、
通称「ブルーライン」というペイントがされ、
島と島を繋ぐ橋には「自転車道」が完備。
本当に、自転車が走りやすい環境なのだ。
そして、この好環境と絶景により、
サイクリスト憧れのスポットとなっている。
まさに、自転車活用推進法が目指す
「観光来訪」と「地域活性化」
を果たしている模範的ケースだね。
まあ、とにかく、
国や地方自治体が自転車活用を目指す!
と宣言してくれているワケだから、
我々にとっては、
こんなにありがたい話はないねえ。
ロードバイクは、
体にとってもやさしい有酸素運動だ。
確かに、水泳やジョギングも良い。
だが、水泳は、ジムに通い続けるのが大変。
ジョギングは、膝や腰を痛めやすい。
その点、ロードバイクは、
膝や腰にもやさしいし、
自宅からすぐに出発できる上、
ローラーがあれば、自宅で手軽に漕げる。
私も、お陰様で、
この1年で、ざっと10kgは減量できた。
しかも、全く「苦もなく」である。
今後も、この趣味は続けたいが、
何よりも、交通安全!に尽きるよね。
自転車の交通教育!
早急に本気で取り組んで欲しいっす!