沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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281)やっちまった~!

例年、節税対策としてやっている
「ふるさと納税」。

私個人としては、
昨年で4回目を数えた。

だが、ついに、ついに、
やっちまった~!

何と、ふるさと納税の鉄則である
「上限額の厳守」
を果たせなかったのである!

思わぬ失態であった。

ふるさと納税は、我が国の場合、
「寄付金控除」である。

寄附金控除というのは、
「個人が公益団体等に対して寄附した場合、
寄附額=所得控除・税額控除とすること」。

日本の場合、寄附金控除は、
所得税(国税)は、所得控除方式で、
住民税(地方税)は、税額控除方式だ。

だが、所得税にしろ、住民税にしろ、
自営業者の場合は、
確定申告の結果が出てみないことには、
所得税も住民税も全く分からない!

従って、自営業者のふるさと納税は、
「このくらいまでは、OKかな?」
という予測のもとで寄附することになる。

で、その予測が見事に外れた!
ということなのである(…とほほ)。

まあ、収入(売上)が下がることは、
言ってみれば、当たり前だった。

昨年から、当事務所では、
全員がパートナー(共同経営者)となり、
各人に収入(売上)が計上されることに。

一昨年までは、勤務弁護士の稼働分は、
全て、一旦、私の収入(売上)となり、
勤務弁護士には、給与を支給していた。

ただ、収入(売上)は減っても、
勤務弁護士への給与負担も無くなるし、
パートナーからの経費負担もあるし、
そんなに所得(利益)は激減しないだろう…、
なんて思っていたら、
ものの見事に、減収・減益となったのだ。

結果、所得もガクンと減ったので、
住民税もガクンと減ることに。

ふるさと納税の「キモ」は、住民税である。

寄付額については、
まずは、所得控除される。
この分、所得税が軽減となる。
所得税は累進課税なので、税率分の軽減だ。

課税所得ごとの税率は、次のとおり。

課税所得額     税率
~195万円    5%    
~330万円   10%
~695万円   20%
~900万円   23%
~1800万円  33%
~4000万円  40%
4000万円超  45%

所得控除ということは、
寄付金額=「経費」に出来るのと同義。

所得税には、上記税率に加えて、
復興特別所得税が課される。
各税率×「2.1%」である。

上記で最高税率の人の場合、
軽減率は45%×(1+2.1%)=45.945%で、
結局、残り54.055%は実質負担のまま。

そこで、次に、住民税の税額控除となる。

住民税かの控除は、
「基本分」と「特例分」とに分かれる。

基本分は、寄付額の10%で、
これは、言ってみれば、所得控除と同義。

上記の最高税率の人ならば、
所得控除できなかった残り約54%のうち、
さらに10%が軽減されるので、
残りは、44.055%となる。

そして、最後に、「特例分」の適用。
これが、ふるさと納税の「キモ」。

所得控除と住民税の税額控除基本分で軽減されなかった
残りの実質負担分を全てチャラにしてくれるのが、
この住民税の税額控除特例分なのだ。

だが、この特例分の適用には、
「住民税の所得割額の20%」まで、
という「上限」が定められている。

これが、いわゆる「ふるさと納税の上限額」
として語られる部分。

上記の最高税率の人の場合、
特例分で、寄付額の「44.055%」をチャラにしたい。

そこで、住民税の所得割額の20%が、
寄付額の44.055%と同額になるライン、
これこそが、ふるさと納税の上限額である。

計算式は、実に簡単で、
0.2÷0.44055≒0.45397
ということで、
所得割額の45.397%が「上限額」ということ。

ちなみに、課税所得ごとの上限額は、次のとおり。

課税所得額    寄附金控除「上限額」(下記+2千円)
~195万円   所得割額×23.558%    
~330万円   所得割額×25.065%
~695万円   所得割額×28.743%
~900万円   所得割額×30.067%
~1800万円  所得割額×35.519%
~4000万円  所得割額×40.683%
4000万円超  所得割額×45.397%

住民税の所得割額は、
ざっくり言えば、課税所得額の10%だ。

所得税と住民税とでは、所得控除額が違うので、
厳密には一致しないが、まあ、大した差ではない。

で、私の場合、見事に、
この上限額を超えてしまったワケだが、
この「超え方」も問題で、
ふるさと納税の「返礼品価値=寄付額の3割」
なのだとすると、

寄付額総額の3割 > 上限オーバー額
 これなら、まだ「割引価格での取り寄せ」だが、
寄付額総額の3割 = 上限オーバー額
 これだと、普通に「定額で取り寄せ」ただけで、
寄付額総額の3割 > 上限オーバー額
 これに至れば、「ぼったくり被害」に等しい、
ということになろう。

さて、私の場合、
ふるさと納税の「返礼品価値=寄付額の3割」
という前提ならば、
何とまあ、「ぼったくり被害」に等しい
という悲惨な結果になってしまった……。

これが「返礼品価値=寄付額の4割」ならば、
「割引価格での取り寄せ」なんだけどね(笑)。

まあ、いずれにしても、
寄附自体は、気持ち良くさせてもらっているし、
何よりも、上の子の帰省などに合わせて、
その都度、各自治体の名産品を頂戴して、
実に、幸せな時間を過ごさせてもらっている。

なので、我が家では、
「ぼったくり被害」などということは微塵もなく、
本当に「ありがたい返礼品」の数々であった。

もちろん、一切の後悔なし!!である。

とは言え、今年からは、
もう少し慎重に、所得の見通しを楽観視せず(笑)、
やや「控え目」にしていかねばね~。