285)令和の平和外交
- 2019年10月22日
- 法律・政治
今日は、10月22日。
「即位礼正殿の儀」が実施された。
海外から多くの賓客が招待され、
天皇皇后両陛下は、通訳なしで、
全ての賓客と英語で会話されていた。
天皇陛下は、
オックスフォード大学への留学、
皇后陛下は、
ハーバード大学卒業の元外交官。
それぞれの英語力は、
日常会話レベルを優に超えており、
今までに無い「皇室外交」が期待される。
日本国憲法において、
天皇が「日本国の象徴」とされるとおり、
「皇室=日本」というイメージで、
海外メディアには焼き付けられる。
まさに、皇室そのものが、
「平和の象徴」となることを強く願う。
天皇陛下は、下記引用のとおり、
「即位礼正殿の儀のお言葉」で、
「憲法の遵守」と
「象徴としてのつとめ」を強調され、
「平和への願い」を高らかに宣言された。
(引用はじめ)
即位礼正殿の儀のお言葉
さきに、日本国憲法及び皇室典範特例法の
定めるところにより皇位を継承いたしました。
ここに「即位礼正殿の儀」を行い、
即位を内外に宣明いたします。
上皇陛下が30年以上にわたる御在位の間、
常に国民の幸せと世界の平和を願われ、
いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、
その御心を御自身のお姿でお示しになってきたことに、
改めて深く思いを致し、
ここに、国民の幸せと世界の平和を常に願い、
国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、
日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめ
を果たすことを誓います。
国民の叡智とたゆみない努力によって、
我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、
人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。
(引用おわり)
ところが、現在の安部政権は、
「憲法改正」を至上命題としている。
自民党の憲法改正草案では、
「天皇は元首」とされ、
「国防軍が創設」されている。
まさに、天皇陛下の思いと逆行している。
安倍政権が、本気で憲法改正をしようとしている今、
我々国民は、今一度、
「憲法の理念」を学び直さねばならない。
天皇が「元首」となるということは、
天皇と国民との関係が、
「君主と臣民」の関係に逆戻りすることと同義だ。
そうすると、まさに、日本国憲法が
「民定憲法」から「欽定憲法」へ逆戻りすることに。
実際、大日本帝国憲法では、
「朕カ現在及將來ノ臣民ハ
此ノ憲法ニ對シ永遠ニ從順ノ義務ヲ負フヘシ」
と規定されており、
当然のごとく、「臣民の憲法遵守義務」を定める。
そして、これまた案の定ではあるが、
自民党の憲法改正草案では、
第百二条(憲法尊重擁護義務)
1 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、
この憲法を擁護する義務を負う。
との規定が置かれ、
「国民の憲法尊重義務」が新たに規定され、
おまけに、
「天皇の憲法擁護義務」が削除されているのだ。
現在の日本国憲法では、
第九十九条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
との規定が置かれ、
天皇も憲法尊重擁護義務を負っているし、
最も大切なことは、
「国民には憲法尊重擁護義務が無い」ということだ。
これは至極当然のことで、
憲法というものは、
国民が国家権力に対して、その権力行使を制限するために、
この憲法を「守れ!」と命じるものだから。
この自民党の憲法改正草案は、
実は、「とてもとても恐ろしい改悪」であることを、
我々国民は、肝に銘じて、
本気で、このような憲法改悪には抵抗せねばならない。
今回、「即位礼正殿の儀」には、
一人の高校一年生が招待された。
彼女は、昨年、沖縄慰霊の日において、
「生きる」というタイトルで、
見事な「平和の詩」を朗読した女性だ。
このような女性が招待されたということ。
これは、紛れもなく、
天皇皇后両陛下から、
「戦争をしたい」安倍政権に対して、
強烈に投げつけられたメッセージではなかろうか。
以下、「生きる」の全文を引用する。
自民党には、この文章の重みを噛み締めて頂きたい。
(引用はじめ)
「生きる」
沖縄県浦添市立港川中学校3年
相良倫子
私は、生きている。
マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、
心地よい湿気を孕んだ風を全身に受け、
草の匂いを鼻孔に感じ、
遠くから聞こえてくる潮騒に耳を傾けて。
私は今、生きている。
私の生きるこの島は、
何と美しい島だろう。
青く輝く海、
岩に打ち寄せしぶきを上げて光る波、
山羊の嘶き、
小川のせせらぎ、
畑に続く小道、
萌え出づる山の緑、
優しい三線の響き、
照りつける太陽の光。
私はなんと美しい島に、
生まれ育ったのだろう。
ありったけの私の感覚器で、感受性で、
島を感じる。心がじわりと熱くなる。
私はこの瞬間を、生きている。
この瞬間の素晴らしさが
この瞬間の愛おしさが
今と言う安らぎとなり
私の中に広がりゆく。
たまらなく込み上げるこの気持ちを
どう表現しよう。
大切な今よ
かけがえのない今よ
私の生きる、この今よ。
七十三年前、
私の愛する島が、死の島と化したあの日。
小鳥のさえずりは、恐怖の悲鳴と変わった。
優しく響く三線は、爆撃の轟に消えた。
青く広がる大空は、鉄の雨に見えなくなった。
草の匂いは死臭で濁り、
光り輝いていた海の水面は、
戦艦で埋め尽くされた。
火炎放射器から吹き出す炎、幼子の泣き声、
燃えつくされた民家、火薬の匂い。
着弾に揺れる大地。血に染まった海。
魑魅魍魎の如く、姿を変えた人々。
阿鼻叫喚の壮絶な戦の記憶。
みんな、生きていたのだ。
私と何も変わらない、
懸命に生きる命だったのだ。
彼らの人生を、それぞれの未来を。
疑うことなく、思い描いていたんだ。
家族がいて、仲間がいて、恋人がいた。
仕事があった。生きがいがあった。
日々の小さな幸せを喜んだ。
手をとり合って生きてきた、私と同じ、人間だった。
それなのに。
壊されて、奪われた。
生きた時代が違う。ただ、それだけで。
無辜の命を。あたり前に生きていた、あの日々を。
摩文仁の丘。眼下に広がる穏やかな海。
悲しくて、忘れることのできない、この島の全て。
私は手を強く握り、誓う。
奪われた命に想いを馳せて、
心から、誓う。
私が生きている限り、
こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、
絶対に許さないことを。
もう二度と過去を未来にしないこと。
全ての人間が、国境を越え、人種を越え、宗教を越え、
あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。
生きる事、命を大切にできることを、
誰からも侵されない世界を創ること。
平和を創造する努力を、厭わないことを。
あなたも、感じるだろう。
この島の美しさを。
あなたも、知っているだろう。
この島の悲しみを。
そして、あなたも、
私と同じこの瞬間(とき)を
一緒に生きているのだ。
今を一緒に、生きているのだ。
だから、きっとわかるはずなんだ。
戦争の無意味さを。本当の平和を。
頭じゃなくて、その心で。
戦力という愚かな力を持つことで、
得られる平和など、本当は無いことを。
平和とは、あたり前に生きること。
その命を精一杯輝かせて生きることだということを。
私は、今を生きている。
みんなと一緒に。
そして、これからも生きていく。
一日一日を大切に。
平和を想って。平和を祈って。
なぜなら、未来は、
この瞬間の延長線上にあるからだ。
つまり、未来は、今なんだ。
大好きな、私の島。
誇り高き、みんなの島。
そして、この島に生きる、すべての命。
私と共に今を生きる、私の友。私の家族。
これからも、共に生きてゆこう。
この青に囲まれた美しい故郷から。
真の平和を発進しよう。
一人一人が立ち上がって、
みんなで未来を歩んでいこう。
摩文仁の丘の風に吹かれ、
私の命が鳴っている。
過去と現在、未来の共鳴。
鎮魂歌よ届け。悲しみの過去に。
命よ響け。生きゆく未来に。
私は今を、生きていく。
(引用おわり)