290)フリーランスのFP術④
- 2020年4月25日
- 経済・ビジネス
このシリーズも、今回で最後となるが、
最後のテーマは、「老後資金」。
フリーランスとして生きていく上で、
私が最も重要だと感じるのが、
この老後資金を万全に準備することだ。
多くのフリーランスが、
全く老後資金を準備していないか、
たとえ準備していたとしても、
なんとなく「貯蓄」しているだけ。
フリーランスには、
「終身年金」と「退職金」
というセーフティネットが無い、
のにも関わらずである。
「人生100年時代」と言われる。
つまり、我々世代は、
「100歳まで生きるかも知れない」
ということなのであり、
それだけ、「老後がとても長い!」
という現実に直面しつつある。
もちろん、フリーランスならば、
「一生涯、働き続ける」
という選択自体は可能である。
だが、そうなれば「ラッキー」
というだけのことで、
もしも働けなくなり、
コツコツ貯めた貯蓄が底を尽いたら?
と考えると、ゾッとするワケだ。
やはり、人生の晩年が生活保護、
という事態は避けたいところだよね。
では、老後資金はいくら必要か?
これは難しいところだが、
まあ、最低でも「年間300万円」
という金額は欲しいと思う。
この金額を「貯蓄」一本で賄うと、
次のように、とんでもない金額に。
老後資金を考える上で、
絶対に欠かせない視点は、
「長生きリスク」と「インフレ」だ。
60歳から40年間の老後期間で、
2%の健全インフレが続く場合、
今の貨幣価値で「年間300万円」
を使える老後資金を準備したければ、
なんと「1億8000万円」(!)
という大金を貯めねばならない。
どうだろうか。
これを60歳までに貯められるか。
だからこそ、老後資金は
「貯蓄」ではなく「投資」
というのが王道なのである。
幸い、老後までは時間に余裕がある。
健全な投資の場合、
「時間を味方」
にさえすれば、必ず、運用益が生じる。
投資というと、特に日本人は、
「投機」や「ギャンブル」
と混同する人が多いが、まるで別物だ。
そして、投資をする場合、
「税金」と「手数料」
のコスト意識を強く持てるかが勝負だ。
まず、生活における最も大きなコストは、
何と言っても「税金」である。
従って、老後資金の準備においては、
「税制優遇制度は使い切る!」
ということが鉄則である。
税制優遇制度の利用による節税効果は、
運用益の比ではないし、
利益が不確実な運用益と異なって、
「確実な利益」
なので、これを利用しない手はない。
住民税の税率は、一律10%。
所得税の税率は、5~45%。
仮に、所得税+住民税で30%なら、
掛金が所得から控除されれば、
毎年「30%の利益」(!)だ。
もちろん、こんな運用益の金融商品は、
この世に無い(あれば、詐欺だ)。
フリーランスが利用できる税制優遇制度は、
・国民年金基金
・小規模企業共済
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・NISA(少額投資非課税制度)&つみたてNISA
などがある。
我が家では、
私が、国民年金基金と小規模企業共済、
妻が、iDeCoとつみたてNISA
を利用しているところ。
弁護士の場合、国民年金基金は、
「日本弁護士国民年金基金」
に加入することになるのだが、
これも不思議なことに、ここ何年も、
その加入率は、ずっと30%程度で推移。
ということは、70%の弁護士が未加入。
これは一体、どういうことなのか?
思うに、勉強好きの弁護士ですら、
「勉強不足」ということなのであろう。
そもそも「終身保険」とは何なのか?
ズバリ、それは「長生き保険」である。
どれほどの貯蓄があろうとも、
いつかは底を尽くし、
今は、いかに元気であろうとも、
いつかは働けなく日が到来する。
体は動いても、いつかは需要が無くなる。
そうなった時に、終身保険は、
長生きに対するセーフティネットとなる。
終身年金に対する誤解で多いのは、
「生活保障」や「財形貯蓄」
と同じように考えていることだ。
だからこそ、
「年金だけで生活できないのはおかしい」
「掛金が全額戻ってこないのはおかしい」
という的外れなクレームが生まれるのだ。
終身年金の本質が「保険」である以上、
損をする人もいれば、得をする人もいる、
というのが現実なのである。
だから、早死にすれば損をするし、
長生きすれば得をする、
という単純な話なワケである。
いざ、自分が長生きしてしまった場合に、
終身年金で最低限の生活費を受け取り、
もしも、余裕資金があれば、
老後人生を謳歌するために使い切る!
というのが、正しい老後のスタンスだ。
フリーランスとしては、
国民年金基金で「終身保険」を用意し、
小規模企業共済で「退職金」を用意する、
というのが、まずはやるべきこと。
その上で、まだ余剰があれば、
どんどん「投資」をしていくことになる。
投資の対象は、「投資信託」一本で、
「インデックスファンド」
のみで必要十分である。
その際、iDeCoとつみたてNISAを利用し、
さらなる余剰金は、通常の投資をする。
そして、投資信託を選ぶ際は、
何と言っても「手数料」に注目。
手数料は、毎年確実に発生するコスト。
従って、これがバカ高いと、
それなりの運用益を出しても、
利益が出ないどころか、損をすることに。
ある論者によれば、
手数料は、毎年「0.5%未満」が鉄則。
インデックスファンドであれば、
このような安い手数料のものが多いので、
それを選択して、早めに投資を開始すべし。
なお、絶対にしてはならないのが、
銀行や証券会社の「窓口」で相談すること。
それをしてしまうと、
「手数料がバカ高い」商品を売られる。
何故なら、その商品を勧めるということは、
その商品を売る「うまみ」があるのであり、
それ即ち、「手数料で儲かる!」からだ。
投資は、必ず、ネット証券を利用して、
コツコツと続けるべし!
とにかく、投資の王道は、
「長期・分散・積立」
に尽きる!
この仕組みを早い時期に作ってしまえば、
後は、できる限り長く働けるよう、
「仕事」と「遊び」
に邁進して、心身の健康を保つことだね。
私の場合、
30代は「お金の種蒔き」
40代は「学びの種蒔き」
50代は「遊びの種蒔き」
というように位置付けてきた。
以上のようなお金の問題は、
全て30代に種蒔きを終えて、今は、
ひたすら「遊びの種蒔き」に集中(笑)。
一旦、仕組み作りさえしてしまえば、
あとは、老後資金のことなど気にせず、
今の人生に集中すればよいのだ。
そうすれば、
フリーランスが捨てた
「安定」を少しでもカバーできるし、
フリーランスの醍醐味である
「自由」を存分に謳歌できる!
ということで、フリーランス万歳!!