沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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290)フリーランスのFP術④

このシリーズも、今回で最後となるが、
最後のテーマは、「老後資金」。

フリーランスとして生きていく上で、
私が最も重要だと感じるのが、
この老後資金を万全に準備することだ。

多くのフリーランスが、
全く老後資金を準備していないか、
たとえ準備していたとしても、
なんとなく「貯蓄」しているだけ。

フリーランスには、
「終身年金」と「退職金」
というセーフティネットが無い、
のにも関わらずである。

「人生100年時代」と言われる。

つまり、我々世代は、
「100歳まで生きるかも知れない」
ということなのであり、
それだけ、「老後がとても長い!」
という現実に直面しつつある。

もちろん、フリーランスならば、
「一生涯、働き続ける」
という選択自体は可能である。

だが、そうなれば「ラッキー」
というだけのことで、
もしも働けなくなり、
コツコツ貯めた貯蓄が底を尽いたら?
と考えると、ゾッとするワケだ。

やはり、人生の晩年が生活保護、
という事態は避けたいところだよね。

では、老後資金はいくら必要か?

これは難しいところだが、
まあ、最低でも「年間300万円」
という金額は欲しいと思う。

この金額を「貯蓄」一本で賄うと、
次のように、とんでもない金額に。

老後資金を考える上で、
絶対に欠かせない視点は、
「長生きリスク」と「インフレ」だ。

60歳から40年間の老後期間で、
2%の健全インフレが続く場合、
今の貨幣価値で「年間300万円」
を使える老後資金を準備したければ、
なんと「1億8000万円」(!)
という大金を貯めねばならない。

どうだろうか。
これを60歳までに貯められるか。

だからこそ、老後資金は
「貯蓄」ではなく「投資」
というのが王道なのである。

幸い、老後までは時間に余裕がある。
健全な投資の場合、
「時間を味方」
にさえすれば、必ず、運用益が生じる。

投資というと、特に日本人は、
「投機」や「ギャンブル」
と混同する人が多いが、まるで別物だ。

そして、投資をする場合、
「税金」と「手数料」
のコスト意識を強く持てるかが勝負だ。

まず、生活における最も大きなコストは、
何と言っても「税金」である。

従って、老後資金の準備においては、
「税制優遇制度は使い切る!」
ということが鉄則である。

税制優遇制度の利用による節税効果は、
運用益の比ではないし、
利益が不確実な運用益と異なって、
「確実な利益」
なので、これを利用しない手はない。

住民税の税率は、一律10%。
所得税の税率は、5~45%。

仮に、所得税+住民税で30%なら、
掛金が所得から控除されれば、
毎年「30%の利益」(!)だ。

もちろん、こんな運用益の金融商品は、
この世に無い(あれば、詐欺だ)。

フリーランスが利用できる税制優遇制度は、
・国民年金基金
・小規模企業共済
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・NISA(少額投資非課税制度)&つみたてNISA
などがある。

我が家では、
私が、国民年金基金と小規模企業共済、
妻が、iDeCoとつみたてNISA
を利用しているところ。

弁護士の場合、国民年金基金は、
「日本弁護士国民年金基金」
に加入することになるのだが、
これも不思議なことに、ここ何年も、
その加入率は、ずっと30%程度で推移。

ということは、70%の弁護士が未加入。
これは一体、どういうことなのか?

思うに、勉強好きの弁護士ですら、
「勉強不足」ということなのであろう。

そもそも「終身保険」とは何なのか?

ズバリ、それは「長生き保険」である。

どれほどの貯蓄があろうとも、
いつかは底を尽くし、
今は、いかに元気であろうとも、
いつかは働けなく日が到来する。
体は動いても、いつかは需要が無くなる。

そうなった時に、終身保険は、
長生きに対するセーフティネットとなる。

終身年金に対する誤解で多いのは、
「生活保障」や「財形貯蓄」
と同じように考えていることだ。

だからこそ、
「年金だけで生活できないのはおかしい」
「掛金が全額戻ってこないのはおかしい」
という的外れなクレームが生まれるのだ。

終身年金の本質が「保険」である以上、
損をする人もいれば、得をする人もいる、
というのが現実なのである。

だから、早死にすれば損をするし、
長生きすれば得をする、
という単純な話なワケである。

いざ、自分が長生きしてしまった場合に、
終身年金で最低限の生活費を受け取り、
もしも、余裕資金があれば、
老後人生を謳歌するために使い切る!
というのが、正しい老後のスタンスだ。

フリーランスとしては、
国民年金基金で「終身保険」を用意し、
小規模企業共済で「退職金」を用意する、
というのが、まずはやるべきこと。

その上で、まだ余剰があれば、
どんどん「投資」をしていくことになる。

投資の対象は、「投資信託」一本で、
「インデックスファンド」
のみで必要十分である。

その際、iDeCoとつみたてNISAを利用し、
さらなる余剰金は、通常の投資をする。

そして、投資信託を選ぶ際は、
何と言っても「手数料」に注目。

手数料は、毎年確実に発生するコスト。
従って、これがバカ高いと、
それなりの運用益を出しても、
利益が出ないどころか、損をすることに。

ある論者によれば、
手数料は、毎年「0.5%未満」が鉄則。

インデックスファンドであれば、
このような安い手数料のものが多いので、
それを選択して、早めに投資を開始すべし。

なお、絶対にしてはならないのが、
銀行や証券会社の「窓口」で相談すること。

それをしてしまうと、
「手数料がバカ高い」商品を売られる。

何故なら、その商品を勧めるということは、
その商品を売る「うまみ」があるのであり、
それ即ち、「手数料で儲かる!」からだ。

投資は、必ず、ネット証券を利用して、
コツコツと続けるべし!

とにかく、投資の王道は、
「長期・分散・積立」
に尽きる!

この仕組みを早い時期に作ってしまえば、
後は、できる限り長く働けるよう、
「仕事」と「遊び」
に邁進して、心身の健康を保つことだね。

私の場合、
30代は「お金の種蒔き」
40代は「学びの種蒔き」
50代は「遊びの種蒔き」
というように位置付けてきた。

以上のようなお金の問題は、
全て30代に種蒔きを終えて、今は、
ひたすら「遊びの種蒔き」に集中(笑)。

一旦、仕組み作りさえしてしまえば、
あとは、老後資金のことなど気にせず、
今の人生に集中すればよいのだ。

そうすれば、
フリーランスが捨てた
「安定」を少しでもカバーできるし、
フリーランスの醍醐味である
「自由」を存分に謳歌できる!

ということで、フリーランス万歳!!