沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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297)さあて、再始動!

いよいよ、今日から新年度!
で、なんとか、ギリギリ間に合った!

何が「間に合った」のかと言えば、
私の「やる気」と「元気」の回復だ。

思い返せば、昨年下半期あたりから、
なんだか、ずっとモヤモヤ続きだった感じ。

まあ、いろいろな原因が重なったのだろう。

昨年から続くコロナ禍のもと、
リモート続きによるストレスの増大。

そして、ストレス解消に貢献するはずの
あらゆるリアルなイベント・交流の中止。

これらは、有り体の欲求不満因子だが、
加えて、私にとって相当に大きかったのは、
事務所経営に対する「漠然とした不安」だ。

この「漠然とした不安」というのが、
本当に本当に厄介なヤツなのだ。

これが「具体的な不安」なのであれば、
その結論が出てしまえば、一旦、話は終わる。

例えば、気になっている裁判の行方なども、
勝てばOKだし、負けても次の手を打つまでだ。

そして、その結論は、比較的早くに判明する。

だが、この「漠然とした不安」というのは、
いつまでも「結論が出ない不安」であり、
言ってみれば、「エンドレスな不安」である。

私の場合であれば、極端な話、
それは、「弁護士引退」まで続くということ。

それにしても、私の弁護士人生において、
このような「漠然とした不安」に駆られたのは、
今回が初めてなんだよね。

事務所を開設し、それなりに拡大し、
今までは、有り難いくらいに順調に推移した。

ところが、2019年、突然の経営不振。
と思ったら、2020年には経営復調。

なんて一安心したのも束の間、
2021年第一四半期、再度の経営不振。

当事務所も、人数が増え、
全員を豊かにしたい!との思いもあって、
損益分岐点が異常に高くなっているので、
相当な売上が必要になってきているのだ。

毎月の売上を気にするのは、
やはり、とんでもないストレスだよねえ。

昔、同期の経営者仲間から、
「頭の中、99%が資金繰りのこと」
と言われたことをしみじみ痛感した。

そして、何よりも、経営者にとっては、
経営の好不調の原因が分からないことほど、
心理的にダメージを受けるものはない。

特に、私の場合、経営はずっと順調で、
弁護士人生23年目にして初めて、
経営不振という状態を経験したために、
思いの外、ショックが大きかったようだ。

結局、いくら緻密に分析したところで、
2019年と2020年とでは、
何一つとして決定的な経営上の変化は無く、
ただ単に「偶然」に左右された結果に過ぎない。

なんていうことを、
ずっとモヤモヤ考えていたワケなのだが、
自分の内心を顧みるに、ふと、
あまりにも経営者目線になり過ぎていた、
ということに気付かせてもらった次第。

これは、本当に有り難いことだった。

いやいや、私自身は、
いろいろな思いを抱いて弁護士となったのに、
いつの間にか「初心」を忘れていたのでは?

確かに、プレイング・マネージャではあるが、
マネージャとしての意識が高まり過ぎて、
プレイヤーとしての「情熱」が冷めたのでは?

などと思い直すに至り、
結構な時間を要したが、何とか「復活」!!
という心境に到達することができたのだ。

いやあ、本当に、
長い長いトンネルからようやく抜け出た感じ。

芥川龍之介が、自殺直前に、
この「漠然とした不安」について書き留めている。

彼の表現では、「唯ぼんやりとした不安」である。
以下、引用してみる。

(引用はじめ)

或旧友へ送る手記
芥川龍之介

誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない。
それは自殺者の自尊心や或は彼自身に対する心理的興味の不足によるものであらう。
僕は君に送る最後の手紙の中に、はつきりこの心理を伝へたいと思つてゐる。
もつとも僕の自殺する動機は特に君に伝へずとも善い。
レニエは彼の短篇の中に或自殺者を描いてゐる。
この短篇の主人公は何の為に自殺するかを彼自身も知つてゐない。
君は新聞の三面記事などに生活難とか、病苦とか、或は又精神的苦痛とか、
いろいろの自殺の動機を発見するであらう。
しかし僕の経験によれば、それは動機の全部ではない。
のみならず大抵は動機に至る道程を示してゐるだけである。
自殺者は大抵レニエの描いたやうに何の為に自殺するかを知らないであらう。
それは我々の行為するやうに複雑な動機を含んでゐる。
が、少くとも僕の場合は唯ぼんやりした不安である。
何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安である。
君は或は僕の言葉を信用することは出来ないであらう。
しかし十年間の僕の経験は僕に近い人々の僕に近い境遇にゐない限り、
僕の言葉は風の中の歌のやうに消えることを教へてゐる。
従つて僕は君をとがめない。……

(引用おわり)

要するに、この「漠然とした不安」に駆られると、
永久に抜け出せない「底なし沼」に陥ってしまう。

昨年は、コロナ禍の影響なのか否かは不明だが、
少なくない人数の著名人が自ら命を絶った。

私は、有り難いことに元気を取り戻せたが、
30代・40代の頃を思い出し、
初心に戻って、原点回帰のつもりで邁進したい。

そして、本ブログも、長い間サボってしまったが、
今までのように、自由気ままに書き綴っていきたい。

当事務所のホームページを見てみると、
私の最初のブログ投稿日は、2009年4月。
もう12年も前なんだね。

以来、今回の投稿で297稿目。

全てのブログ記事は、ワードで保存してあるが、
本稿終了時点での累積の総文字数は、
なんと「70万2531文字」だそうだ。

まあ、よく書いてきたもんだよね(笑)。

さあて、「初心」に戻って「原点回帰」!!
これに尽きる!!