301)若い時から「備える」
- 2021年5月1日
- 経済・ビジネス
早いもので、私も、もう53歳。
弁護士としては、25年目。
中小企業診断士としては、11年目。
事務所内では、もうすでに、
「引退時期」の宣言をしている。
それは、2033年。
そう、あと12年後である。
ついでに言えば、
2030年には、後継体制に移行する。
で、残りわずかの現役期間の課題は、
娘たちの自立を見守り・応援しつつ、
事務所の後継体制を築くことだ。
もちろんのことながら、
まだ仕事人生を振り返るには早いが、
もう3分の2が経過したかと思うと、
ホントにアッという間だよね~~。
さて、現役時代にやっておくべきこと、
特に、若い世代に伝えたいのは、
「備える・学ぶ・遊ぶ」の3点だ。
普段、若い弁護士を見ていても、
とにかく「忙し過ぎる」と感じる。
忙しいこと自体は、
「稼ぐ」という点からは結構だが、
「学ぶ・遊ぶ」の観点からはツラい。
若い時期に、キチンと自己投資をして、
たくさん学び・たくさん遊ばないと、
セカンドライフが実につまらなくなる。
そして、シッカリ学び続けないと、
稼ぎ続けられないのもまた事実である。
そのためには時間の使い方が大切だが、
その話は、また別の機会にして、今回は、
「備える」という点にフォーカスしたい。
全人類に共通の人生の目的があるならば、
それは「幸福になる」ことだろう。
何を幸福と感じるかは、人それぞれだ。
だが、自分が感じる幸福に近づくために、
誰もが手に入れたいものが「自由」だ。
その自由を手に入れる前提として、
誰もが確保しておきたいものが、
「健康」と「お金」である。
特に、豊かなセカンドライフのためには、
「健康」と「お金」が絶対的に必要だ。
にも関わらず、
健康とお金に無頓着な人が何と多いことか。
健康もお金も、シッカリ築くためには、
それなりの年数が必要となってくる。
つまり、若い時から「備える」べきなのだ。
で、健康のことは別の機会に譲るとして、
お金に関する「備え」の話をしてみたい。
本ブログでも何度も述べているが、
お金の備えは、「30代」に仕込むこと。
誰が何と言おうと、これに尽きる。
そうすれば、40代以降は、
お金のことをさほど気にせずに、
目の前の仕事や、学び・遊びに注力できる。
だが、これを実行できている人が少ない。
まあ、人間の持つDNAからしても、
それは仕方のないことらしいのだが。
人間のDNAは、現在もまだ、
「狩猟採集時代」のままらしい。
つまり、「今」にしか関心がなく、
「快の獲得」より「不快の回避」を優先する。
目の前に危険が差し迫っていれば、
目の前の食事よりも逃げる方を優先する。
これは、生命の維持にとっては、当たり前。
一説によれば、今の世の中でも、
文明から隔絶された狩猟採集部族には、
「未来」という概念さえ無いらしい。
未来という概念は、
「農耕社会」の開始とともに生まれたそうだ。
農耕のためには、将来的な計画性が必要で、
そのためには、「暦」が不可欠だからね。
そして、農耕によって「余剰」が生まれ、
そこから、「富の格差」も始まったそうだ。
まあ、それはそれとして、
「備える」という行為は、
「未来」のことに関するものなので、
どうしても、我々は「軽視」しがちなのだ。
とは言え、現代社会では、お金は必要不可欠。
そして、いつかは、働けなく日が来るかも。
働かないとお金が全く無い状態ならば、
途端に「老後貧乏」という事態に陥る。
さて、そうならないために、
どう「備える」のか?ということだ。
備えるポイントは、
「貯金・保険・投資」をシッカリ区別して、
それぞれにキチンと対応することだ。
まずは、貯金。
貯金は、「入用に備える」ためにある。
つまり、必要費用を確保しておくこと。
そのためには、「流動性」が大切。
すぐに換金できないと意味がないので、
基本的には「普通預金」で管理する。
貯金の形で備えるべきは、
生活防衛資金・目的別貯金などだ。
次に、保険。
保険は、「破綻に備える」ためにある。
つまり、破綻しないなら不要ということ。
この点が、特に日本人に多い誤解だ。
独身なのに死亡保険に入っていたり、
貯蓄も兼ねた割高な保険に入っていたり。
保険は、とにかく「掛け捨て」が基本。
誰もが、必ず入るべきなのは、
「賠償責任保険」と「終身年金保険」のみ。
賠償責任は、賠償額の上限が予想できず、
家計破綻のリスクは生涯に渡って続く。
終身年金保険は、
「長生きリスク」に備えるため。
老後資金は、基本的に投資で対応するものだが、
投資だって、当然、失うリスクはある。
本当に生活のピンチに陥ったときに、
唯一、生活を支えてくれるのが終身年金保険。
そして、終身年金保険としては、
国民年金保険・厚生年金保険・国民年金基金
の3つしか頼れるものはない。
民間の個人年金保険に入る前に、
必ず、上記3つの加入可能なものに入るべし。
最後は、投資。
投資は、「老後に備える」ためにある。
投資の目的は、できる限り「殖やす」こと。
そのためには、「長期運用」が必要不可欠。
だからこそ、30代でスタートすべきなのだ。
そして、税制優遇制度は、必ず使い切る!
iDeCoだったり、小規模企業共済だったり、
あるいは、つみたてNISAだったり。
年金の話題にしても、
掛金の累計総額と受給額とを比較して、
「何年生きれば元がとれるか?」
といった議論がされることがあるが、
この議論で抜け落ちているのが「節税」だ。
とにかく、終身年金保険にしても、
ありとあらゆる税制優遇制度は、
その年の「税金がカット」できるのだから、
その時点で「既に十分なリターン」がある。
例えば、所得税と住民税とで、
併せて30%の人がいたとしよう。
その人が税制優遇制度に加入すれば、
毎年毎年、「30%のリターン」を得る!
ということなのだ。
こんな民間商品があれば、
それは間違いなく「詐欺」だ(笑)。
即ち、「元がとれるか否か」ということなら、
アッという間に「元がとれる」のである。
だから、税制優遇制度に加入する前に、
民間の保険商品・投資商品に手を出すのは、
まさに「愚の骨頂」としか言いようがない。
使える限りの税制優遇制度に加入した後に、
ようやく民間の投資商品に手を出すべきだ。
そして、長期運用の効果は絶大だ。
アインシュタインが語ったとされる
「複利は人類最大の発明だ。
知っている人は複利で稼ぎ、
知らない人は利息を払う。」
との名言のとおり。
例えばの話だが、
30歳から30年間に渡って、
「手取りの4分の1」
を長期運用に回したとしよう。
すると、60歳で引退したとして、
その後、100歳までの40年間、
「ずっと現役並みの生活レベル」
が維持できる!というワケ。
何故そうなるの?
と思った人は、勉強不足!ということ。
ということで、くどくど書いたが、
若い人達こそ、「備える」意識が大切!
これは、ちょっとだけ先輩の身として、
私の現役中、口酸っぱく言い続けたいねえ。