54)プロゴルフの世界は厳しい…
- 2010年12月7日
- 社会・雑学
この前の日曜日(12月5日)を以て、今年の国内男子プロゴルフツアーが終了した。
今年も、石川遼選手・池田勇太選手ら若手を中心に大変盛り上がり、最後の最後まで「賞金王争い」からは目が離せなかった。
結果的には、ベテランの藤田寛之選手が最終戦でメジャー初制覇を果たし、賞金王に輝いたのは、韓国のキム・キョンテ選手となった。
注目の石川遼選手は、賞金ランキング3位に終わったが、獲得賞金額は堂々の1億5100万円強であった。本当にスゴイ19歳である。
今年の男子プロゴルフツアーでは、賞金ランキングの上位6名が1億円超ということで、何とも「華やかな世界」という印象を受ける。
だが、プロゴルフの世界は想像を絶する厳しさだという。
現在、国内男子で「プロゴルファー」と呼ばれる人達は、ざっと5000名弱だそうだ。
その中で、トーナメント(ツアー)に出場できる資格を有する「トーナメントプロ」は2000名強であり、残りの人達は、レッスンプロとも呼ばれる「ティーチングプロ」である。
トーナメントプロと言えば、プロ中のプロたる「エリート」である。
そもそも、プロゴルファーになるためのプロテストにクリアーすることだけでも、並大抵のことではない。当たり前だが、ちょっとゴルフが上手いという程度ではどうにもならない。
私の母校であるPL学園は、おそらく野球でしか有名ではない気がするが、実は、野球以外にも剣道・ゴルフ・バトンというのが全国トップレベルにある。
今はそうではないようだが、私の在学中は、野球・剣道・ゴルフは「体育コース」と称され、我々がいた「普通コース」とは完全に別扱いであった。
当時は、ゴルフも全国制覇が珍しくなく、私の1期先輩には谷口徹選手がいた。彼は、今年もシッカリと賞金ランキング6位に入り、賞金だけで1億円以上を稼いでいる。
しかし、そんな全国トップレベルのゴルフ部出身者ですら、なかなかプロテストに合格しないという話を聞くし、それこそ、トーナメントで活躍しているプロなんていうのは、残念ながら谷口選手くらいしか知らない。
では、トーナメントプロ2000名強のうち、どのくらいの選手が「賞金だけ」で生活できているのであろうか?
聞くところによると、トーナメントプロの「最低限」の年間経費は、約1000万円だそうである。
ツアーに参加するための交通費・宿泊費・食費・エントリーフィ・キャディーフィなど全てが「自腹」だからだ。
となると、年間1500万円くらいの賞金が稼げないと、とてもとても賞金だけで生活することなんて出来そうにない。
ところが、今年、年間1500万円以上の賞金を稼げたのは、わずかに上位63名だけである。
つまり、2000名強もいるトーナメントプロの中で、賞金だけで生活が成り立っているのは、なんと上位3%(!)に過ぎないということだ。
あまりにも厳しい世界である。
実は、私の親族にもプロゴルファーがいる。
トーナメントプロではなく、ティーチングプロなのだが、生活はメチャメチャ苦しそうだ。
ティーチングプロの場合、今までは、月収で20~30万円程度は稼げたそうだが、今の世の中、なかなかそうもいかず、ゴルフと無関係のアルバイトもしていかないことには、とても生活は成り立たないのだそうだ。
私と同期のゴルフ部出身の友人は、プロにもなれず、今はゴルフ場のグリーンキーパーをやっている。年収は300万円程度とのこと…。
そもそも、プロテストに合格すること自体が、大変なことであり、凡人には到底クリアーできないハードルである。なのに、その後に待ち受けている環境は、あまりにも過酷である。
人によって得手不得手があるので、単純には比較できないが、どう考えても、プロゴルファーになるよりも士業等の資格を取る方が圧倒的に簡単だと思う。
勉強に関しては、「努力と時間は決して裏切らない」と言えるので、継続さえすれば、いつかは合格できる。だが、スポーツの世界は、そうもいくまい。
努力の他に才能が必要不可欠であろうし、何よりも、体力のピークが早期に到来してしまうので、トライできるチャンスが限られているからだ。
我々の世界でも、弁護士人数の急増により、今後は「食えなくなるかも…」などと危機感を募らせているわけだが、プロゴルフの世界に比べれば、まだまだ恵まれ過ぎていると言えよう。感謝を忘れてはならない。
例えば、弁護士の世界で「上位1000名に入らないと食えない」なんていうことは絶対にないのだから。(と信じたい……)
さりとて、当事務所としては、地域で「1番」と言われる存在へ成長することが目標である。となると、まだまだ弛まぬ精進が必要であることだけは確かだ。