73)借金して「金」を買う!?
- 2011年8月18日
- 経済・ビジネス
先日、当事務所で実務修習をしていた司法修習生のささやかな送別会を開いたのが、その席上、「今からは、借金して金(ゴールド)を買えば、大儲け出来るかも!?」という話題で、弁護士一同、大いに盛り上がった。司法修習生の「送別」とは全く関係ないが…。
依然として、日本の借金は増える一方であり、今日現在で約880兆円にまで膨れ上がっている。
この膨大な借金を帳消しにする最も現実的な方法は、「ハイパーインフレ」(急激なインフレ=1年間で物価が2倍とか3倍とかになる)を起こすことである、というのが多くの有識者の指摘するところであり、私も、そう思う。
実際、終戦直後の日本では、多額の借金を返済するために、紙幣を大量に発行して意図的にハイパーインフレを起こした、ということが言われている。
ハイパーインフレが現実に起これば、債権や債務といった「円建て」の「定額」資産・負債の価値は暴落する。
そうなれば、国の借金も一気に返済可能となる、という筋書きだ。
ハイパーインフレが起こって得する人は、多額の借金を抱えた人であり、損をする人は、多額の預貯金や国債を持っている人だ。
借金も預貯金も国債も、み~んな「定額」の資産・負債なので、ハイパーインフレが起これば、価値が暴落してしまうからだ。
一方、株式や金(ゴールド)などの「変額」の資産は影響を受けない。
ハイパーインフレが起こっても、物価の変動に伴って、その価格自体が「変動」するからだ。
ということで、冒頭の「借金をして金(ゴールド)を買う」という方法が、ハイパーインフレを迎える直前においては、最適な「資産形成術」なのではないか、という結論になるわけだ。
だが、この方法は、ハイパーインフレが実際に起こらなかった場合には、ものの見事に「大損」をすることになるので、その見極めは自己責任でどうぞ…。
さてさて、話は変わるが、みなさんは、どのような資産運用をされているだろうか。
日本でも、今後は「貯蓄から投資へ」が主流になる、などと言われて久しいが、日本人の「預貯金好き」は未だに健在のような気がする。
日本で現実にハイパーインフレが起こってしまったら、多額の預貯金がゴミ同然になるかも知れないので、資産の大半が預貯金だという人は本当に要注意だ。
我が家はと言えば、預貯金・投資信託・金(ゴールド)投資などに適当に分散して運用している。
うちの場合は、専ら、夫婦の老後のための「自分年金」感覚での運用なので、長期・分散・積立を基本に、長~い目でチビチビと運用している。
通常、株式と金(ゴールド)は「逆の値動きをする」傾向にある。
うちの場合でも、投資信託は、世界全体が株安のため、真っ赤っかの赤字であるが、金(ゴールド)は、その4倍くらいの黒字なので、全体としては、かなり得した勘定になっている。
とは言え、うちが換金するのは20年以上先のことなので、今の価格に一喜一憂する必要は全くないのだが…。
ただ、資産運用という観点で言えば、長期・分散・積立という手法が最も着実な運用方法であることだけは確かだ。
現在の世界では資本主義が主流であり、資本主義経済では「成長」が宿命づけられている以上、長~い目(長期)で見れば、必ず、市場は成長するからだ。
その上で、資産(種類・地域)の分散と投資タイミング(時間)の分散(積立)を実行すれば、あらゆるリスクを最小にしていくことが出来るというわけ。
その点、投資信託は、最初から資産を「分散」しているので、個別の株式を選択して購入するよりもリスクが圧倒的に低いと言えるし、投資信託を積立で購入していけば、投資タイミングも分散できるので、実に便利な金融商品であると言える。
もちろん、このような方法では決して「大儲け」は出来ないので、一攫千金を狙いたい人は、デイ・トレーディングなどに走るしかないのだが、リスクヘッジをしながら、資産を着実に増やしていく方法は、長期・分散・積立しかない!ということだ。
本当は、市場が下落相場の時には、スポット購入で出来る限り「大量」に買い込んでおくのが賢い投資なのだが、今の我が家には、ちと、そこまでの余裕はないなあ。
この夏休み、どっと散財したもんで……。(S・Mさん、またまたお世話になりました)