沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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104)年収1000万は不幸せ?

最近、親しくしている中小企業診断士の「同期」が脱サラして独立した。
一足先に、やはり親しくしている同期が独立を果たしているので、身近では
2人目の独立開業ということになる。

来週、祝賀会を開催する予定だが、同期のガンバリや活躍というのは、本当
に刺激になるものだ。

もちろん、中小企業診断士の独立開業というのは、そんなに生易しいもので
はなく、当面、彼を待ち受けているのは、経済的困難かも知れない。
ただ、彼の人柄や能力からすれば、必ずや輝かしい未来が開けるであろう
し、私も同期として精一杯の応援をしていきたいと強く思っている。

独立開業した中小企業診断士が目指す経済的目標は、ズバリ「売上1000万
円」である。
中小企業診断士の場合、クライアントが事務所を訪ねて来ることはないの
で、自宅兼事務所が一般的で、経費自体は意外に安く抑えられるから、売上
1000万円なら年収(事業所得)は700万円程度といった感じか。

どの世界でも「1000万」という響きには「特別」なものがあるのかも。

サラリーパーソンの世界でも、「夢の1000万円プレーヤー」などと称される
ごとく、年収1000万円というのは、経済的成功の象徴とされる。
ちなみに、日本全国で年収1000万円以上の人というのは、全体の5%弱なん
だそうだ。
やはり、一握りの「成功者」というイメージだ。

さて、そんな「夢の1000万円プレーヤー」なのだが、実は、大して幸せでは
ないのでは?という面白い調査結果がある。

2年ほど前、アメリカのプリンストン大学が調査したもので、年収7万5000
ドル(今のレートだと約600万円)以下の人では、「収入」と「喜びや満足
感」は正比例するのに対し、7万5000ドルを超えると、ガクッと「喜びや満足
感」の上昇率がダウンするというのだ。

今の異常な円高を割り引いて考えれば、年収700万円前後が「幸せの境界
線」というような話だ。

この「理由」を私なりに解釈してみると、次のような感じだろうか。

年収150万円だと、確かに生活はキツイ。
だが、年収300万円になれば、買える物はグッと増える。
さらに、年収500万円にもなれば、一気に、生活の質は向上する。

そして、年収700万円までいけば、十分な高額所得者である。
おそらく、生活に「必要な」あらゆる文明の利器は手に入るはず。
また、一定頻度の遊興や文化的活動も、計画性と節度さえ守れば、十分過ぎ
るくらいにエンジョイできよう。

だが、その後は、たとえ年収が1000万円になろうが、あるいは、2000万円に
なろうが、1つ1つの商品やサービスの「グレード」が上がったり、活動に興
じる「頻度」が上がったりするだけのことで、生活の本質的な向上は年収700
万円の時点で「頭打ち」のような気がする。

つまり、年収250万円から年収500万円に上がった際の「生活の劇的変化」に
比べて、年収500万円から年収1000万円に上がった際の変化は「何だ?こんな
もんか?」という感じなんだろう。

そう、何不自由なく生活できる年収(=700万円)を超えてしまうと、お金
の「ありがたみ」が一気に失せてしまうというワケなのだ。

大金を稼いでも、バカみたいな物に使ってしまう人が多いのは、結局は、切
実な使い道が見つからないからだ。

一方、年収が増えるほど「努力やストレスも増える」というのは自明の理。

年収150万円を300万円にする場合なら、ひょっとすると、努力やストレスは
2倍で済むかも知れない。
だが、年収500万円を1000万円にしようと思えば、努力やストレスは間違い
なく「数倍」だ。

要するに、年収700万円を超えたあたりから、投じる努力や背負うストレス
に比して、得られる経済的メリットがあまりに小さく感じるということなのだ
ろう。

となると、独立開業した中小企業診断士が目指す「売上1000万円=年収700
万円」というのは、まさに「最高に幸せ」な年収ということだ。

ということで、同期のIさん!
そして、一足先に独立した同期のEさん!
2人とも、応援してまっせ!!