218)2つの創る喜び
- 2016年8月11日
- 経済・ビジネス
ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん貧乏父さん」シリーズの中に、
「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」という本がある。
直訳すれば、
キャッシュフロー=お金の流れ
クワドラント=4分割した円
ということなんだろうけど、
要は、資本主義社会で「収入を得る4つの領域」という感じ。
で、その4つというのが、下記の「E・S・B・I」。
E=Employee=従業員
S=Self-employee=自営業者
B=Business owner=ビジネスオーナー
I=Investor=投資家
従業員は、人の指揮下で、自ら働いて収入を得る者。
自営業者は、自らの判断で、自ら働いて収入を得る者。
ビジネスオーナーは、人に働いてもらって収入を得る者。
投資家は、お金に働いてもらって収入を得る者。
従来、弁護士=自営業者であった。
勿論、駆け出し弁護士の頃の数年間に限っては、
「イソ弁」として「ボス弁」の指揮下で修業するのが普通ではある。
イソ弁というのは、「居候弁護士」の略称で、
その名のとおり、あくまでも「居候」に過ぎない身だから、
「期間限定の従業員」というのが大前提だ。
その「期間が満了」すれば、
共同経営者(パートナー)となって事務所に残るか、
独立開業することとなる。
ところが、である。
今や、「生涯、従業員のままでよい。」という弁護士が急増中だ。
企業や役所に就職する弁護士は、もちろん「従業員」であるし、
大手事務所に就職する弁護士も、やはり「従業員」である。
弁護士人口が急増していく中、
弁護士の「労働環境」も大いに変貌を遂げてしまった。
市場規模が変わらないまま、弁護士人口だけが急増したのだから、
まともに「食えない弁護士」が急増するのは、当然の理。
結果、「自営業者」になることを捨てて、
「従業員」にとどまる選択をする弁護士が急増するのも、また当然の理。
「従業員」の最大の魅力は、何と言っても「安定」に尽きる。
たくさんの収入はいらないから、とにかく、生活の不安を払拭したい。
今の競争環境を考えれば、こう考えるのも無理からぬこと。
結果、大いに稼げる弁護士は、安く弁護士を雇うことが可能になり、
従業員であり続けたいという弁護士をたくさん雇用して、
「ビジネスオーナー」となる弁護士まで、数多く現れてきた。
つまり、弁護士=自営業者という単純な構図は崩れ去り、
「安定」を求めて、従業員になる弁護士や、
「利得」を求めて、ビジネスオーナーになる弁護士など、
実に多様な弁護士像が登場してきたというワケ。
思えば、何故、弁護士になったのかと言われれば、
「自由」の一言に尽きる気がする。
誰をクライアントとするか、どういう事案を受けるか、全て自由。
この「自由」の享受こそ、自営業者の特権である。
勿論、自由は「責任」と表裏一体なので、失敗すれば、全て自己責任だ。
この厳しさがイヤで、「安定」を求めるのは、何ら悪いことではない。
むしろ、高収入を捨てて、「従業員」でよいという弁護士が増え続ければ、
弁護士1人当たりが稼ぐ必要のある金額も大幅に減るワケだから、
これは、競争環境の「緩和」に繋がるのかも知れない。
ホントにそうならば、我が業界の未来も、そんなに暗いものではないのかも。
私が司法修習生だった頃、
検察教官からの強いリクルートもあり、
検事になるか、弁護士になるか、
大いに迷ったものだったが、結局、「自由」を決め手に弁護士を選んだ。
そして、15年余り在籍した共同事務所を離れる決断をしたのも、
やはり、「自由」が決め手だった。
先週末、当事務所のレイアウト変更工事を実施した。
現在の「弁護士2名・事務員2名」体制から、
「弁護士3名・事務員3名」体制に移行することに備えてだ。
この決断も、決め手は「自由」だ。
独立当初、「自由」かつ「のんびり」と仕事に励もうと思っていたところ、
有り難いことに、仕事が増えすぎて、弁護士2名体制に移行した。
でも、それでも、仕事が増え続け、ついに、弁護士3名体制に移行することとした。
勿論、当事務所の「キャパ」からいって、これが限界だ。
私は「ビジネスオーナー」になる気はサラサラないので、
弁護士3名体制への移行は、あくまでも、私自身の「自由な時間」を確保するため。
弁護士が増えた分、またまた仕事量も増えたのでは、元も子もない。
ここは、シッカリと我慢して、弁護士1人当たりの仕事量を確実にセーブしながら、
大いに「自由」を享受していきたいもの。
ズバリ、目標は、
「所得は2割減でも、時間は2割増!」だ。
ビジネスとは、「顧客」に「価値」を提供することである。
だから、ビジネスがキチンと成立するためには、
顧客が求める「価値を創る人」と、
価値を求める「顧客を創る人」とが、ともに必要。
従業員=価値を創る人で、
ビジネスオーナー=顧客を創る人だね。
だが、自営業者は、その2つの「創る」を1人でこなすことになる。
そして、それこそが「自由の醍醐味」に違いない。
従業員では、「顧客を創る喜び」を味わえないし、
ビジネスオーナーでは、「価値を創る喜び」を味わえないのだから。
やはり、自営業者が最高!!
と、生涯に渡って言い続けられるよう、シッカリと稼がねばね。