173)予防法務!
- 2015年1月25日
- 法律・政治
昨年末のバタバタに引き続き、年明け早々も忙しい。
ここ2週間ほどのスケジュールは下記のとおり。
1月13日(火)
・・午前 弁護士会公務@津
・・午後 新入会弁護士倫理研修@津
・・夜 新入会弁護士との懇親会@津
1月14日(水)
・・午前 弁護士会公務@津
・・午後 依頼者と面談@四日市
・・夕 民事裁判@名古屋
・・夜 事務所で仕事@四日市
1月15日(木)
・・終日 日弁連理事会@東京
1月16日(金)
・・終日 日弁連理事会@東京
1月17日(土)
・・終日 事務所で仕事@四日市
1月18日(日)
・・午前 クリニック開業内覧会@亀山
1月19日(月)
・・午前 民事裁判@津
・・午後 民事裁判@伊勢
・・夜 弁護士会公務@津
1月20日(火)
・・午前 顧問先と面談@四日市
・・昼 四庁トップ昼食会@津
・・・・・*四庁=裁判所・検察庁・弁護士会・法テラス
・・夕 民事裁判@名古屋
・・夜 事務所で仕事@四日市
1月21日(水)
・・午前 刑事裁判@滋賀・大津
・・午後 民事裁判@名古屋
・・夕 弁護士会公務@津
・・夜 弁護士会常議員会@津
1月22日(木)
・・午前 依頼者と面談2件@四日市
・・午後 中弁連理事会@津
・・夜 自宅で仕事@四日市
1月23日(金)
・・午前 民事裁判@名古屋
・・午後 民事裁判2件@四日市
・・夕 依頼者と面談@四日市
・・夜 相手方と面談@四日市
という感じで、我ながら、なかなかの過密スケジュールだよねえ。
ただ、弁護士業務にせよ、会長職にせよ、私自身の体を「その場」に移動させねばならないので、どうしても仕事の効率性は悪い。
なので、過密スケジュールが続くと、やらねばならない雑務や起案に支障が生じてしまい、土日や夜間にシワ寄せがいく結果となる。
そうなると、ストレスが貯まり、心身に支障が……なんてことになりかねない。
幸い、今日は、ゆったりと過ごせそうなので、シッカリと充電したいっす。
さて、上記スケジュールの中で、1月18日(日)の「クリニック開業内覧会」というのは、ちょいと異色であろう。
これは何かというと、この度、そのクリニックの院長先生との間で顧問契約を結ばせて頂くこととなったので、開院の御祝に駆け付けたという次第。
顧問契約にまで至った経緯は、懇意にして頂いている顧問先から、クリニック開業予定の同先生を御紹介頂き、同先生が、当事務所のホームページを御覧になられた際、当事務所が最も強調するところの「予防法務」に強く共感されたからである。
私としても、クリニック開業にあたり、そこまでの高い意識をお持ちになられたことに対し、深く深く敬意を表するものだ。
一般の中小企業においてですら、「予防法務」を真剣に考えている経営者なんて、ホントに少ないのだから。
大企業においては、「予防法務」は常識で、むしろ、その先の「戦略法務」にジャンジャン注力しているほどだ。
だが、中小企業の場合、どうしても、すぐ「目の前」の「営業」や「資金繰り」といったことに必死で、今すぐは必要でない「人材育成」や「予防法務」なんて、ドンドン後回しにされがちなんだよねえ。
中小企業経営者の頭の中は、普通、こんな感じ。
財務=重視
労務=軽視
法務=無視
だからこそ、今回の、クリニック院長先生の高度な危機意識は素晴らしいのだ。
何故、中小企業にとって「予防法務」が大切かと言えば、中小企業の場合、たった1つの重大な法的紛争で、企業として「死ぬ」可能性すらあるからだ。
最近、予防法務の重要性を痛感した民事事件を担当した。
守秘義務の関係で詳細は記述できないが、当初からキチンとした契約書を作成してさえいれば何ら問題のない案件であった。
ところが、相手方の巧みな口車に乗せられ、言われるがままに極めて不合理な書類にサインしてしまい、真実とは乖離した判決を言い渡され、控訴でも心証を逆転することが出来ず、結局は、敗訴に等しい和解で終了した。
この事案では、幸い、企業倒産までには至らなかったが、経営には相当なダメージをもたらした。
おそらく、経営者も、今回のことで「予防法務」の重要性を痛感したに違いない。
よく、「弁護士に日常的に相談することなんて無い。法的紛争が生じたときに、弁護士に依頼すれば十分だ。」なんて言う話を聞く。
だが、それは明らかに間違いだ。
法的紛争が生じてからでは「遅い」のだ。
何故かと言えば、「時間は逆回しに出来ない」からだ。
法的な権利・義務が発生する仕組み自体は単純である。
ある「a」という事実があれば、「A」という権利・義務関係が生じる。
別の「b」という事実があれば、「B」という権利・義務関係が生じる。
この「a」とか「b」とかの「事実」があったのか否かを判断するのが「事実認定」であり、多くの裁判は、ここで揉めるワケだ。
そして、事実認定の基になのは、言うまでもなく「証拠」だ。
また、「a」→「A」とか「b」→「B」といった「→」の部分が「法(=ルール)」であり、そのルールを規定するのが「法律」や「契約」である。
そして、この「ルール」が何なのかを判断するのが「法解釈」ということだ。
法的紛争が生じた後では、
1)その時に存在する「証拠」だけを武器として
2)その時までに発生した「事実」と
3)その時に適用されるべき「ルール」を
当事者が各々主張し合って、法的攻防を展開していくことになる。
ここで、肝に銘じておくべきことは、
1)証拠は後から「作れない」
2)事実は後から「取り消せない」
3)ルールは後から「変えられない」
ということだ。
何か事を為そうとする前に、ちょっと、弁護士に相談してみる。
そうすれば、やるべきでない事をやらずに済んだり、やるべき事を的確かつ適時に実行できたりもするだろう。
また、この取引であれば、法律とは違う「ルール」をキッチリ決めた方がよい、というアドバイスを受けることもできよう。
そして、そのように実行した「事実」や合意した「ルール」は、必ず「証拠化」しておくが肝要なのだ。
多くの民事裁判において、事実認定が最も揉めるということは、それだけ、証拠を事前準備していない人が如何に多いかということ。
交通事故のように、突発的に起こる事案ですら、「ドライブレコーダ」等によって、ちゃんと証拠化できる方策があるのだから、キチンとした契約書すら作らないなんていうのは、経営者として、あまりにも「お粗末」だと言わざるを得ない。
まあ、そうは言っても、ついつい「法務は無視」してしまうのが、日々、「財務で頭がいっぱい」の経営者であろう。
だからこそ、私は、「日常的な経営のアドバイス」から経営者とお付き合いができるよう、経営コンサルタントの端くれにもなったワケである。
会長任期終了後は、予防法務に精通した弁護士+経営コンサルタントとして、何としてでも、中小企業経営者のお役に立てるよう、バリバリ頑張っていきたいもんす。