314)自転車にも反則金
- 2024年4月1日
- 法律・政治
先月5日、道路交通法改正案が閣議決定された。
同改正案は、国会で成立すれば、
2026年までに実施されるとのこと。
今回の改正案のキモは、
自転車にも反則金制度を導入しようというもの。
ところで、皆さんは、
「赤切符」と「青切符」は御存知だろうか?
赤切符の正式名称は、
「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」
というもので、紙が赤色なので赤切符と呼ぶ。
赤切符を切られたら、
紙に記載されている指定日・場所に出頭をする。
その後、警察官と検察官による取り調べ、
裁判所への略式命令請求、
裁判所による略式命令の手続きを経て、
「罰金」の納付となる。
そう、赤切符を着られると「刑事罰」を受け、
罰金刑が下されれば、「前科」も付いてしまう。
また、赤切符の対象は、違反点数6点以上。
従って、赤切符を切られると、
「免許停止」や「免許取消し」
という行政処分を受けることにもなろう。
では、青切符とは?
青切符の正式名称は、
「交通反則告知書」
というもので、紙が青色なので青切符と呼ぶ。
青切符は「交通反則通告制度」に基づいた制度。
交通反則通告制度とは、
比較的軽微な交通違反においては、
「反則金」を納めることで処理する仕組み。
本来、道路交通法違反をすると、
検察庁により起訴され、裁判所にて審理される。
しかし、全ての交通違反を取り締まっていると、
裁判所や警察官、違反者にも相当な負担がかかり、
違反者に対する処分手続も滞ってしまう。
そこで設けられたのが、交通反則通告制度。
反則行為においては、反則金の納付がされれば、
手続きが終結して刑事罰が「免除」される。
だが、この交通反則通告制度の対象は、
現在のところ、自動車・原動機付自転車のみ。
つまり、自転車に対しては、
刑事罰である赤切符の適用しかなく、
比較的軽微な違反については、
全ての事案を取り締まることができず、
柔軟性に欠けていた。
警察庁の統計結果(令和4年)では、
自転車運転中の交通死傷事故のうち、
死者の8割、負傷者の6割について、
自転車の運転者にも何らかの違反が認められた。
こうした状況を受けて、
今回の道路交通法改正に至ったということ。
同改正案では、
比較的軽微な112種類の違反が青切符対象で、
重大な24種類の違反は赤切符対象のまま。
主なところでは、次のとおり。
(青切符対象)
信号無視
指定場所一時不停止
通行区分違反
遮断踏切立ち入り
歩道での通行方法違反
横断歩行者妨害
制動装置不良車両運転
スマートフォンや携帯電話などの使用
緊急車妨害
(赤切符対象)
酒酔い運転
酒気帯び運転
あおりなどの妨害運転
このうち、個人的には、特に、
「通行区分違反」と
「歩道での通行方法違反」については、
青切符の対象になることは、大・大賛成だ。
通行区分違反とは、
例えば、右側通行や、歩道通行など。
街中での自転車の乗り方を見ていると、
ある時は、車両として振る舞い、
またある時は、歩行者のように振る舞う。
自動車のドライバーからすれば、
ホントに危ない存在だと言ってよい。
まずは、正しい交通ルールのおさらい。
自転車は「軽車両」であるから、
そもそも、車道を左側通行するのが大原則。
しかも、
「道路の左側端に寄って」通行せねばならない。
多くの自転車が、これが出来ていない。
最近では、自転車が通行すべき部分として、
道路の左側端に青い矢印が描かれていることも。
それでも、矢印が描かれているのに、
その矢印の方向に逆らって右側通行する自転車も。
本当に、どういうことなんだろう?
と、いつも不思議に思っているところだ。
そして、路側帯の逆走(右側通行)に至っては、
まさしく、日常的な光景として、毎日見かける。
そもそも、皆さんも、
「路側帯」と「歩道」は区別できるだろうか?
路側帯とは、簡単に言えば、
車道に設けられた歩行者等が通行する為のエリア。
つまり、路側帯は歩道ではないということ。
そして、路側帯にも3種類あり、
自転車が通行できるのは、
「白線1本で区画された路側帯」である。
ちなみに、
「白線2本で区画された路側帯」は、
歩行者専用路側帯で、自転車は通行不可。
その他、
「白の破線と実線で区画された路側帯」は、
駐停車禁止路側帯で、全ての車両が駐停車禁止。
ややこしいが、この場合、自転車は通行できる。
従って、自転車が、
歩行者専用路側帯を通行すれば、
歩道通行という通行区分違反となる。
また、自転車が、自身から見て、
道路の「右側にある路側帯」を通行すれば、
右側通行という通行区分違反となるのだ。
このことを理解しない人が多いんだよね。
路側帯を通行する際であっても、
常に「左側通行」を遵守せねばならないのだ。
では、歩道とは何か?
道交法では、歩行者の通行の用に供するため、
「縁石線又は柵、その他これに類する工作物」
によって区画された道路の部分をいう、とされる。
つまり、「立体構造物」で区画された道路で、
単に白線で区画された路側帯とは違うのだ。
歩道を自転車が通行してよい場合は、
左側通行のルールは適用されず、自身から見て、
道路の「右側にある歩道」を通行してもよい。
何故、こんなややこしいルールにしたのか?
という疑問は大いにあるが、
それはそれとして、そういうルールなのだ。
だが、話はここで終わらない。
そもそも、自転車は、
いつでも歩道通行してよいワケではない。
このことも、多くの人が理解していない。
あくまでも、自転車が歩道通行してよいのは、
例外的な場合に限られる。
基本的には、道路標識や道路標示によって
通行することができるとされている場合のみ。
だから、そうでない歩道を自転車が通行すれば、
歩道通行という通行区分違反となる。
そして、歩道を通行してよい場合でも、
「車道寄りを徐行」せねばならないのである。
自転車が歩道を通行するときの「徐行」とは、
「時速4、5キロぐらい」というのが、
警察庁交通局交通企画課長の国会発言である。
時速4~5キロで車道寄りを徐行。
こんな自転車、そうそうお目にかかれないよね。
当然、これに違反すれば、
歩道での通行方法違反ということになる。
では、何故、自転車の右側通行はダメなのか?
ズバリ!とにかく危ないからだ。
右側通行すると、次のような危険がある。
駐車車両などの障害物があれば、
自動車からは自転車の存在に気付きにくい。
正面衝突にとなれば、被害は甚大となる。
見通しの悪い右カーブでは、
右側走行だと、ギリギリまで対向車が見えない。
交差点では危険はMAXとなる。
自動車が交差点に進入する際、
最も気を付けるのは、右方から来る自動車だ。
当然、左方への注意は疎かになりがち。
自転車同士でも、
正しく左側通行する自転車と接触する危険が。
とまあ、ホントに危ないことだらけ。
私も、自身がロードバイクに乗るようになり、
自転車が交通ルールを守ることの大切さを、
身に染みて実感するようになった。
理想としては、自転車の交通ルールを、
小中学生の「必修科目」にして欲しいよねえ。