75)11年間ありがとう
- 2011年9月8日
- 人生・趣味
誰かとの切ない別れ?
シンミリした話?
いやいや、11年間も連れ添った「愛車」との別れが今週末にやって来るという、ある意味どうでもいい「たわいない」話である。
この車、2000年に我が家にやって来て以来、11年間に渡って、毎日の仕事の友として、10万kmを走り続けてきたのだが、エンジンをはじめとして機械的には、まだまだ「元気」そのものだ。
従って、この先も、末長~くお付き合いしてもよかったのだが、ディーラーからの「そろそろどうですかあ?今度の新車いいですよ~~。」という甘言にフラフラと心動かされ、心機一転!気分を変えてみるのもいいかあ、などと思ってもみたりして、実に11年振りに仕事車を買い替える気になったという次第。
もっとも、数百万円も一括で払う余裕はチトないので、ビッチリと長期ローンであり、私の所有になるのは数年先だが…。
とは言え、我々のような個人事業者の場合、仕事車に関しては、減価償却(6年間に渡って均等分割して経費で落とせる)という、何とも有り難~い税法上の仕組みがあって、税務署から「6年分の割引チケット」を支給してもらっているようなものなので、こういう時だけは「自営業で良かった」などと実感したりするのであった。
ところで、11年落ちで走行距離10万kmの車となれば、中古車市場の相場としては、もちろん「ほぼ無価値」である。
今回も、下取り価格としては、見事に「ゼロ査定」であった。
もちろん、中古車市場でも完全に「ゼロ」ということはないが、それでも、せいぜい10~20万円程度といったところか。
だが、私にとっては、思い入れのある車である。
もしも、もらい事故にでも遭遇したら、やはり、キチンと「修理」して元に戻してもらいたいと思うのが、オーナーとしての極々自然な感情である。
ところが、法的には、それは通らない話なのだ。
交通事故によって車両が破損した場合、修理費の方が事故当時の時価額よりも高い場合、事故当時の時価額しか賠償されないのである。俗に「時価額賠償の原則」などと言ったりする。
中古車市場において、より安く再調達ができるなら、わざわざ高い修理費をかけて直すバカはいない、というのが一応の理屈である。
もちろん、これは、オーナーの車に対する「愛着」といったメンタルな要素は度外視した即物的な考え方ではあり、「それでも俺は直したい!」という切実なオーナーの声は完全に無視されている。
よって、我が愛車も、事故った挙げ句に、修理費に50万円もかかろうものなら、せいぜい10~20万円しか賠償されず、30万円以上の赤字になってしまうという計算だ。
当然のごとく、この点は、多くの物損事故で、大いにトラブルになるネタなのである。
そもそも、この考え方自体に全く納得できない人も多い。
被害者からすれば、「あなたのせいでこうなったんだから、キチンと元に戻してちょうだいよ!」ということだ。
私だって、法律の専門家でなければ、そのように言いたくもなる。
そして、理屈は何とか理解できたとしても、じゃあ「時価はいくらなのか?」ということが、またまた大問題なのである。
中古車は、この世に1つとして全く同じ個体はないので、その車を現実に査定してもらわないと正確な判断はできないのだが、事故ってしまった後のことなので、正確な査定が非常に難しいのである。
結局、業界の専門誌とかネット検索とかで、同年式で同程度の走行距離の車の相場から「推測」するしかないということになるが、あくまでも「推測」だから、少しでも高く見積もりたい被害者と、少しでも安く見積もりたい保険会社との、バカバカしいまでの「せめぎ合い」になってしまうというワケだ。
こういうトラブルは、加害者としても、決して気持ちの良いものではない。
キチンと保険に入っていても、被害者からは、「保険で出ないなら、お前が自腹で払え!」などと詰め寄られることも多いし…。
ということで、こういう不快なトラブルを回避すべく、「対物超過修理費用補償特約」という有り難い保険が発売されるようになった。
要するに、被害車両の修理費が時価額よりも高くなってしまった場合、修理費から時価額を控除した「差額」を被害者に払ってあげられるという保険である。
この保険に加害者が加入していると、とってもスムーズに示談解決できるケースが多い。
スムーズに示談解決できると、加害者としても気持ちが良いものだ。
是非とも、ドライバーとしての1つのエチケットして、この特約を付保してもらいたいものだ。
まだ付保していない人は、今すぐ代理店に御相談を!
そう言えば、今週末にサヨナラする愛車が我が家にやって来た直後、伊豆方面の旅館に向けて、ルンルン気分でドライブしたことがあった。
まだ、下の子は影も形もなく、上の子もわずか2歳の時であった。
旅行雑誌の見開き2頁を使って大々的に宣伝していた旅館だったので、とっても期待して行ったのだが、部屋に付いている露天風呂には枯れ葉が積もっているし、仲居さんの態度は悪いし、「何じゃこりゃ?」と思うことばかりだった。
そして、翌朝、事件が起きた。
布団が変わって緊張したのか、子どもがオネショをしてしまったのである。
2歳だから「まあ、シャーナイな。」と思いつつ、布団を畳みに来たオッチャンに正直に話すと、「ありゃあ、クリーニング代、払ってもらわないと。」という、およそ「客商売」とは思えない酷い態度。
それでも、多少のお金は仕方がないかと思い直して、ドキドキしながらフロントに行ってみると、そこで請求された金額が、な・何と1万5000円!!
妻と顔を見合わせて「えっ…!」である。
布団と言っても、何年使ってんの?というほどのボロボロの代物である。
これなんかも、本来は「時価額賠償の原則」からすれば、千円くらいの賠償で良かったのかも知れないが…。
だが、悲しいかな、社会に出て数年しか経っていない若夫婦は、とてもケンカできる根性もなく、「もう二度と来るか!」と固く固く誓い合って、そそくさと立ち去るしかなかったのであった。
まあ、今なら、もうちょっと、言いたいことも言えるけどね(笑)