沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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148)人生の選択

 今日は、結婚式に出席して来た。
 私が共同事務所に在籍していた時代の後輩弁護士が新郎だ。

 新婦は、臨床心理士として病院で活躍されている方。
 とっても優しそうな、笑顔がホントに素敵な女性であった。

 新郎・新婦への祝辞は、それぞれの勤務先の所長(弁護士)・院長(医師)で、とっても含蓄のある素晴らしいスピーチであったし、招待客もとても多く、本当に立派な結婚式・披露宴であった。

 私なんぞは、司法修習生という「弁護士の卵」時代に結婚したので、大して気を遣うこともなかったが、これだけの社会的地位のある人達を集めるとなると、さぞかし相当に神経をピリピリさせたことであろう。

 まあ、何はともあれ、今後の幸せが約束されていると思えるくらい「お似合い」のお二人であったので、こちらも幸せの「お裾分け」にあずかることができた。

 私くらいの歳になると、同僚の結婚式に招待される機会は少なくなるが、今後は、先輩あるいは上司として招かれることも増えてくるのかも知れないねえ。

 いずれにしても、人が幸せになる最高の門出に立ち会えるというのは、とっても気分の良いもので、ありがたい話だ。

 さて、今日のお二人は、それぞれ最高のパートナーを「選択」したに違いない。

 だが、長い人生、いつもいつも順風満帆とはいかないはず。
 時には、「私の選択が間違っていたのか?」と思える事態に陥るかも知れない。

 でも、人生に「正しい選択」なんて、そもそも無いんだと思う。

 
 確かに、人生は選択の連続ではあるけれど、正しい道を選択するのが人生なのではなく、自らが選択した道を「正しい道に作り上げていく」ことこそが人生なんだよなあ。

 新郎の彼だって、大学を選び、弁護士という職業を選び、今の就職先を選び、人生最高のパートナーを選び抜いて、今日という晴れ舞台を迎えたワケだ。

 弁護士になって正解だった、この人をパートナーにしてホントに幸せだった!と心の底から言えるようにするのは、結局、今後の彼次第ということ。

 弁護士を取り囲む環境は、私が弁護士になった17年前とは「激変」している。

 ご承知のとおり、弁護士激増による就職難や低所得化といった事態だ。

 私の結婚式では、高校時代の恩師が「彼の人生は前途洋洋で、羨ましい限り。」などとスピーチして下さったものだ。
 だが、今の司法修習生に投げかけられる言葉といえば、「時代が悪かったねえ…。」とか「かわいそうにねえ…。」というネガティブなものばかり。

 まあ、司法制度改革も必要なんだろうけど、弁護士・医師・聖職者といった「人の不幸が飯のタネ」となる職業には、本来、競争原理自体が馴染まないはずなんだよねえ。

 弁護士自身が「食えなく」なれば、当然、依頼者を「食い物」にしようとする輩が出てくるに決まっているからだ。

 現に、高齢のベテラン弁護士や若手弁護士による「横領」事件がマスコミネタになることもしばしば。

 ベテラン弁護士は、仕事が減っているのに過去の高い生活レベルを落とせないのであろうし、若手弁護士は、まさに生活費を稼げないということなのだろう。

 依頼者を「食い物」にすることは、弁護士の目指すべき理念とは真逆の行状だ。

 つまり、「何のために弁護士になったのか?」という原点を完全に忘れてしまっているということ。

 弁護士激増時代となり、弁護士を「金儲けの一手段」と捉える者も増えた気がする。

 そうなると、依頼者を「食い物」にすることに何の抵抗も無くなってしまうのでは?

 弁護士の中には、刑事事件に情熱を燃やす人達が多くいる。
 特に、再審事件などの難事件に「やりがい」を見出して、全くのボランティア(無償)で精力的に弁護活動を続ける弁護士達には本当に頭が下がる。

 その弁護士達は、ライフワークである刑事事件にボランティア(無償)で取り組めるようにする為に、他の弁護士業務でシッカリ稼ぎ続けているのである。

 もちろん、弁護士でなければ刑事弁護はできないので、「弁護士であり続ける為に、金を稼ぐ。」という生き方に辿り着くのだ。

 そう、「金を稼ぐ為に、弁護士になる。」という生き方とは真逆なんだよねえ。

 あるデータによれば、18歳の時に目指した職業に就いている人は、わずか2%に過ぎないそうだ。

 私も、18歳の時には外交官を目指していたが、大学受験で挫折し、その夢は諦めたものの、結果的には、その後に選択した大学のお陰で、弁護士という職業を選択することができたのだ。

 もちろん、弁護士という選択にも、結婚という選択にも十分満足しているし、今後の人生に向き合う自分の姿勢次第で、もっともっと、その幸福度を上げていくことができるに違いない。

 何のために弁護士になったのか、そして、何のために結婚したのか、その原点さえ見失わなければ、一生涯、ハッピーでいられるはず!!