35)モチベーション
- 2010年4月1日
- 人生・趣味
いよいよ今日から平成22年度のスタートである。
個人的には、弁護士として14年目となる。
私は、バリバリ仕事をするのは30年だと想定しているので、仕事人生としては、ようやく折り返し地点が見えてきたところだろうか。
統計によると、企業(法人)が起業して1年以内に廃業する確率は何と30%にも達するそうだ。5年生存率は40%、10年生存率は25%である。つまり、10年間生き残れる企業(法人)は実に4社に1社しかないということだ。
個人事業主に至っては、起業して1年以内に廃業するのが40%、5年生存率は25%、10年生存率は10%という。士業は同列には論じられないが、10年以上続けている個人事業主は、10人に1人の勝ち組と言ってよかろう。
最近では、士業でも廃業することが珍しくなくなった。もちろん、弁護士も例外ではない。今後は、ますます「資格の上に胡座をかく者」は淘汰されていくことだろう。
これまで何とか仕事を続けさせて頂いたことに感謝しつつ、私に提供できる最善のリーガル・サービスは何かということを追求していきたいと思う。
さて、新年度にあたって、「今年度こそは!」と決意を新たにされた方もさぞかし多いことだろうが、とにかく人間は「弱~い生き物」である。
決意したことを実行し、なおかつ、それを1年間継続できる人は100人に1人くらいのものではなかろうか。
20:60:20の法則というのがある。
組織というものは「20(優秀):60(普通):20(不良)」の一定割合で構成されているというものだが、おそらく、どんなグループ・集団にも当てはまるというのが私の実感だ。
例えば、セミナーなどを受講しても、「いいこと聞いた。早速やってみよう。」と決意する人の割合は上位20%程度だ。普通の60%は、「ああ、いい話だったなあ。」で終わり。下位20%に至っては、真剣に話も聞かず、「いい話だった。」という感想すら持たないであろう。
この法則が正しければ、
決意する人(20%)×実行する人(20%)×継続する人(20%)
ということで、決意したことを最終的にずっと継続できる人というのは、全体のわずか0.8%ということになる。つまり、ざっと100人に1人だ。
一説によると、人間は何かを決意した瞬間が意欲の「ピーク」であり、3日坊主は、脳科学的には極めて自然な現象だそうだ。
人間は、とにかく「安楽」と「保守」を好む生き物である。
これは、生物学的には正しいことのようである。
何故なら、自然界では定期的に食事にありつける保証はないし、平常時には変化すること自体が生命のリスクなので、余計な体力は極力使わず、今まで成功していた方法をずっと持続するのが最も効率的な生き方(種の繁栄)だからだ。
だが、現代社会で、「安楽」と「保守」を貫き通すことは到底不可能だろう。
わずか数年前の常識が通用しないくらい時代の変化が激しいので、常に「挑戦」と「変化」を実行し続けなければ、途端に「食えなくなる」というのが偽らざる現実である。本当に厳しい世の中である。
人間は「感情の動物」とも言われる。
3日坊主が生物として「正常」であるならば、常に「モチベーション」を維持し続けるのは並大抵のことではない。
ほとんどの動物には、モチベーションという概念さえも無いだろうが、人間は、高度な知性を得た代わりに、常に「感情との格闘」を宿命づけられたということなのかも知れない。
私自身、今年度も個人的な目標をいくつか抱いてはいるが、我が家では子供の受験イヤーであり、これこそが個人的には今年度の最大イベントである。
いやあ、自分自身のモチベーションを維持することすら容易ではないのに、社会のことすら十分に理解していない子供のモチベーションを維持していくとなると、相当に困難な課題であろう。
モチベーションの高さは、心理学的には、「報酬×成功率」で表現される。
宝くじなんて当たるわけないと思っていても、報酬があまりにも大きいので、多くの人が「夢を買う」わけである。
一方、ATMの手数料で吹っ飛ぶような低金利でも、元金保証(成功率100%)だから、みんなが銀行に預金をして「安心を買う」のだ。
報酬を金銭的に評価することが出来ない場合、「報酬=達成感」と置き換えて、「達成感=1~成功率」と換算するのだそうだ。
突破した課題が難題であればあるほど達成感が大きくなるというのは、普通に理解できる感覚である。
この算式でいくと、
モチベーション=達成感×成功率=(1~成功率)×成功率
ということになる。
言うまでもなく、0≦成功率≦1であるから、モチベーションが最大になるのは、数学的には、
成功率=0.5
の時なんだそうだ。
つまり、どんな事でも、「5分5分」の成功率の時が一番モチベーションが高くなるということなのだ。
成功率が低すぎる場合だけでなく、逆に高すぎてもモチベーションが下がるというのは、面白い現象である。
この点も、我々の経験則と合致していよう。
となると、「自分に出来るかなあ。そう簡単ではないなあ。でも、頑張れば出来そうな気がするなあ。」という程度の「ちょっとだけ難しめの課題」というのが最もモチベーションが上がるということなのだろう。
まあ、いろんなことをヒントにしながら、今年度は、子供と自分のモチベーションを「高値安定」に保てるよう励みたいものだ。