沈思雑考Blog

ソレイユ経営法律事務所の代表である弁護士・中小企業診断士
板垣謙太郎が日々いろいろと綴ってゆく雑記ブログです。

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49)入ってます?自転車保険

 最近、どうも自転車の荒っぽい運転が目立つようになった(と感じる)。

 ご承知のとおり、自転車は道路交通法上は「軽車両」であるから、車道を走ること自体は当然OKなのだが、あくまでもOKなのは「車道の左端」を走ることなのに、車道の右端を平気で「逆走」する人も多いし、歩道から急に車道に飛び出してくる輩(特に高校生など)も目立つ。
 自動車を運転していて、自転車が近くを走行していると、いつもヒヤヒヤしてしまう。

 先日、私(自動車)が先頭で信号待ちしていたところ、信号が青になったので徐に発車したら、急に歩道から自転車から飛び出してきて、すんでの所でぶつかりそうになった。
 見れば、80歳くらいのおじいちゃんだった。
 一応、ケガはないか確認した上で、「信号、赤でしたよね。よく見て横断して下さいね。」と言って別れた途端、車がビュンビュン通る中、信号を無視して車道を平然と横断して行ってしまった……。

 また、1年以上前だったと思うが、私が歩道上を歩いていて、横断歩道を渡ろうと、ちょっと右にズレた際、後から「キキーッ!」という自転車のブレーキ音がして、すんでの所で私と自転車がぶつかりそうになった。
 見れば、外国人のおばさんだったが、謝るどころか、一方的に私をサンザン怒鳴りつけて、顔を真っ赤にしながら走り去ってしまった……。

 自転車の荒っぽい運転が目立つのは、やはり、自転車を乗る人達に向けた「交通教育」が徹底されていないからだろうと思う。
 自転車は免許制でもないし、児童から高齢者まで、どんな人でも乗れるものだから、基本的な交通ルールすら知らないまま、好き勝手に乗り回してしまうことが多いので、自動車からどう見えているのか、歩行者からどう見えているのか、というイマジネーションが全く働かないのではなかろうか。

 自転車という乗り物は、自動車から見たら「被害者」になりやすい存在だし、歩行者から見たら「加害者」になりやすい存在で、言い方はキツイが、自動車からも歩行者からも「ジャマな存在」とされがちである。

 その一方で、自転車に乗る人達に、そのような「控え目な意識」があるとはとても思えず、遠慮がちに乗っている人など、あんまり見たことがない。
 むしろ、歩道も車道も「ワガモノ顔」で縦横無尽に走り回っているという印象が強い。

 本来であれば、オランダのように、街中に「自転車道」を完全整備すべきなのだが、今の日本の財政事情では非現実的であるから、私としては、何と言っても「自転車教育」に力を入れていくべきであろうと思う。

 ところで、近年、自転車事故が急増し、自転車が「加害者」となる事故で、被害者に対する賠償額も急騰しているようだ。
 
 被害者が死亡したり、重度の後遺症にでもなったりしたら、賠償額が「ウン千万円」に達することは十分あり得る。

 さて、そのような場合、あなたはキッチリ賠償できるであろうか?

 普通の人にとって、数千万円の賠償金を捻出するのは当然不可能な話…。
 ちょっと裕福な人でも、キャッシュで賠償できる人は少ないだろうから、家などの資産を処分する必要は出てくるだろう。
 いずれにせよ、家計に全くダメージを受けずに平然と賠償できる人は稀有であり、家計がメチャクチャに破綻してしまうのが普通だ。

 そんな家計破綻のリスクがある以上、当然、自転車にも「保険」を付ける必要がある。
 ところが、自動車と違って、意識的に自転車に保険を付けている人など、ほとんどいないはずだ。

 自転車を新車で購入すると、「TSマーク」というものが自転車に貼られる。
  このマークは、自転車安全整備士が自転車を点検・整備して、道路交通法上の普通自転車として確認をしたという証なのだが、このマークが貼られている自転車には賠償責任保険が自動付帯されており、最高で2000万円の賠償までOKである。
 この保険が付いているだけでも、ある程度の賠償リスクには対応可能だ。
 全く知らずに、この保険に加入している人も多いことだろう。

 だが、この保険、有効期限が「1年」しかないという決定的欠点がある。
 自転車を、年に1回、マメに「車検」に出す人がどれほどいるだろうか…。
 自転車の車検費用自体は1000円程度なので安いもんだが、うっかりしていると、アッという間に「車検切れ」になってしまうのだ。

 TSマークは、忘れずに車検に出す自信のある人には安くて便利なものだが、超高額賠償(2000万円超)リスクには結局対応できないので、やはり、意識的に自転車に保険を付けるべきなのである。

 従前は「自転車総合保険」というものを各損保会社が販売していたようだが、今では、ほとんどの損保会社は販売を止めてしまっているのが実情だ。

 そこで、オススメなのが「個人賠償責任保険」である。
 これは、日常生活で発生するあらゆる加害事故に対応できるので、自転車事故にも対応可能である。しかも、賠償額も1億円~無制限と十分な額に対応可能であるし、保険料も年間数千円程度のものである。
 自動車に乗る人は自動車保険に特約として付帯することが出来るし、家を持っている人は火災保険に特約として付帯することも出来る。

 我が家でも、自動車保険に特約として付けている。
 子供たちが自転車に乗る以上、どんな事故が発生するかも分からないからだ。

 自転車も、歩行者から見れば、立派な「凶器」である。
 自転車に乗る全ての人が、この意識を十二分に持たねばならない。

 事故というのは、加害者になっても、被害者になっても、悲惨である。
 もちろん、事故の当事者にならないのがベストではあるが、不幸にして加害者になってしまった場合、十分な賠償責任が果たせるよう事前に備えておくのが、自転車という「凶器」に乗る者の最低限の社会マナーである。