親子に関する基礎知識
I 様々な「子」の種類
1 実子と養子
実子というのは、生理的な親子の血縁関係を基礎する「自然親子関係」にある子のことです。
養子というのは、養子縁組という法定の手続によって擬制された「法定親子関係」にある子のことです。
どちらも、親子としては平等であり、特段の差別的扱いはございません。
2 嫡出子と非嫡出子
嫡出子とは、適法な婚姻をしている夫婦の間に生まれた子のことであり、実子だけでなく、養子も含まれます。
養子は、民法809条により、「縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」と規定されています。
非嫡出子とは、適法な婚姻によらないで生まれた子のことで、いわゆる婚外子のことです。
非嫡出子の場合、血縁関係にある親との親子関係を築くためには、親から認知を受ける必要があります。
認知を受けた子は、親から扶養されたり、親を相続したりする権利を取得しますが、民法900条4号では、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1とされており、差別的扱いを受けています。
これを違憲とする判例もありますが、救済としては不十分であり、早期の立法的解決が望まれます。
3 藁の上からの養子
上記1のごとく、民法上は、実子と養子という区別しか想定されていないので、全く血縁関係がないのに実子として届け出てしまったという「想定外」のケースに対する救済が不十分で、社会問題となっています。 このような子を俗に「藁の上からの養子」と呼んでいますが、要するに、実態としては「養子」なのですが、外観上は「実子」として戸籍上の届出がされた子のことです。
最高裁は、一貫して、養子縁組という法定の手続を踏んでいない以上、養子とは認められず、ましてや、当然に実子でもないので、結局、如何なる意味においても「子」ではないとの立場を維持しています。
この点は、納得し難い点もございますが、下記ブログにて、この点に触れていますので、ご参照下さい。
藁の上からの養子
http://www.soleil-mlo.jp/blog/eia/663/
II 親子関係の成立・解消
1 認知
前述のとおり、非嫡出子は、血縁上の親に対して認知を請求することができます。
その親が自発的に認知に応じてくれれば問題ないですが、拒否された場合には、裁判によって強制的に認知を実現せねばなりません。
認知をしなければ、そもそも、親子関係自体が築かれないのですから、非嫡出子にとっては、非常に重要な権利です。
2 嫡出の否認
民法772条によれば、「妻が婚姻中に懐胎した子」は夫の子と推定されます。
また、「婚姻成立の日から200日を経過した後、または、婚姻解消の日から300日以内に生まれた子」は、妻が婚姻中に懐胎したものと推定されます。
従って、実際には、夫の子ではないのに、上記の推定によって、戸籍上、夫の子とされてしまっている子が存在します。
そこで、夫には、その子が嫡出子であることを否認する権利が与えられており、嫡出否認の訴えというものを裁判所に提起することができます。
3 親子関係不存在の確認
子の中には、民法722条の推定を受けない子も存在します。その場合には、嫡出否認の訴えによることはできませんので、親子関係不存在確認の訴えによることができるとされています。
親子関係不存在確認の訴えは、夫(父)だけでなく、妻子や直接の利害関係人(相続人など)でも提起することができます。
4 養子縁組・離縁
民法814条1項によれば、次の3つの場合に離縁ができるとされています。
- 1. 相手方から悪意で遺棄された場合
- 2. 相手方の生死が3年以上明らかでない場合
- 3. その他、縁組を継続し難い重大な事由がある場合
以上、結局は、ケース・バイ・ケースによる具体的判断が必要となりますので、必ず、弁護士に御相談されることをお勧めします。